第3回まちづくりオープンミーティングを実施しました

更新日:2019年12月23日

観光実態調査報告

 観光戦略を策定するための基礎調査結果のポイントをじゃらんリサーチセンターが解説するとともに、同センター客員研究員の佐藤真一氏のコーディネートのもと、参加者と岡田市長による意見交換を行いました。

概要

日時

平成27年9月17日(木曜日) 14時~17時

場所

ウェルネージかこがわ

参加 

一般参加者 50名

じゃらんリサーチセンター 佐藤真一氏、田中優子氏

岡田康裕市長

内容

  • 観光実態調査報告
  • 意見交換

 

当日の様子

オープンミーティングの様子

意見交換の様子

 

市長の感想

 今回のオープンミーティングは「観光実態調査報告会」と合わせて行わさせていただきました。この観光実態調査は、市が今年度策定する観光戦略の基礎的な資料として観光客の滞在や周遊分析、地域の資源分析を行ったものです。

 多くの方にご参加いただき、調査報告を熱心に傾聴していただいた後、リサーチセンター客員研究員の佐藤真一さんのコーディネートのもと、観光振興について活発な意見交換をさせていただくことができました。佐藤さんには、観光に関する戦略策定や情報発信など、本当にわかり易く、いろんな事例を踏まえてお話をいただきまして、考えさせられる点が非常に多かったです。加古川の歴史や自然、食文化などの観光資源を再発見や新たな観光資源の発掘など、いただいたご意見を踏まえながら、戦略策定に向けて取り組んでまいりたいと思います。

オープンミーティング要旨

【市長】

 そもそも加古川市はご存知でしたか?

 

【コーディネーター】

 「加古川」は知っていましたが、どの辺にあってどれぐらいの大きさのまちで、というのは全く知らなかった。行ったことはないけれども、なんとなく知っているという感じです。

 人口は今まだ増えていますか?

 

【市長】

 これまで横ばいで、この直近の2年間でいよいよ減少傾向が見えてきました。

 

【コーディネーター】

 国の人口統計でも、2040年まで下がっていく結果が出ています。だから、その前提で戦略を作っていくしかないんですね。

 一人の人が市から出ていかれたりお亡くなりになられたりすると、年間の消費額が121万円地域から無くなると言われています。1万人いなくなると121億円無くなるんです。

 ところが、外国人の観光客が11人来ると、1人いなくなってもカバーできるといわれています。これが国内の宿泊客だと何人でカバーできるかです。

 

【市長】

 外国の人の方はたくさんお金を使うのでしょうね。国内の人だと、もっと大人数じゃないとカバーしきれない。

 

【コーディネーター】

 みなさんの地域は、宿泊があまり強くなければ、日帰りのお客さんですね。日帰りのお客さんはもっとお金を使わないので、もっと取りにいかなきゃいけないんです。

 「かつめし」は観光の報告書では期待値が75でそこそこ高い。しかし満足度は。店は何軒あるんでしたっけ。

 

【司会者】

 オフィシャルでは150軒ぐらい。

 

【コーディネーター】

 150軒のご当地グルメの店は普通ないです。そこを打ち出すべきですね。150軒の中、あなただけの店を見つけてください、と言われると、まずパンフレットが欲しくなるし、もっと他にあるんじゃないかと思います。

これから本題に入っていきます。

お聞きしていたのは加古川市の地理的な部分に関して強みがある、という話でした。市長から見て、強みとか弱みとかいくつかありますか?

 

【市長】

 地理的な強みという意味では、加古川駅から新快速で24分で神戸駅に出て30分かからず三宮へ出られます。姫路へも10数分で出られます。高速道路も南と北にあります。地価が比較的安くて、都市部に通勤も出来得る場所です。

 

【コーディネーター】

 だから今まで人口が減らずにきていると思います。逆に、マイナスの部分は何かありますか?何か地理的な部分で、加古川市はこれがちょっと不利だな、というところ。

 

(参加者)

 大きなショッピングセンターなどがあまりない。

 

【コーディネーター】

 確かに最近、道の駅なども作っただけで人が来ますね。

 大分県の日田市で今年の春まで観光協会の事務局長をしていました。周りには福岡市や北九州市といった大きな街に隣接し、一方で「ザ・観光地」の別府・湯布院、阿蘇などがあるんです。だから日田市は確実に通過されている観光地でした。

 そこで考え方を変え、ちょっと呼び止めて降ろすことが出来たらと考えました。寄り道型の観光を開発して、やり始めました。

 

【市長】

 中国地方へ車で行くときでも、赤穂の塩ラーメンを食べたくなってパーキングエリアに寄ったりしますね。

 

【コーディネーター】

 ただ、その情報を知らないと通過します。さらにわざわざそこに留まるという何か、それは興味を上げていくことが必要ですね。

 滞在が1カ所で3時間ならば、その時間を増やして2、3カ所回ってもらう形にするのか、その3時間の中でよりお金を落としてもらう部分を増やすのか。

 

【市長】

 かつめしを含め、知られていないということもあるでしょうし、市に来てくれる人もおりますので、それをより伸ばすっていう可能性もあるでしょうね。

 

【コーディネーター】

 かつめし以外で、市外の人が来たときに、ここに連れて行こうというグルメをぱっと思いつく方は?

 

(参加者)

 焼肉ですね。かつめしは朝早くからは店が開かない。そんな時は肉だけでもと思います。

 

(参加者)

 卵かけご飯です。日本一の卵かけご飯があります。

 

【コーディネーター】

 日本一の卵かけご飯と言われると食べたいと思いますね。言ったもの勝ちですからね。「日本一」って使っちゃいけない表記もありますが、それぐらいの思いで考えていただくとすごくありがたいです。

 それと「焼肉」。それを聞いて「ほかの焼肉と何が違うんだ?」と聞きますよね。「ああ焼肉ね」「卵かけご飯ね」で終わっては駄目なんです。

 

【市長】

 卵かけご飯は卵かけご飯グランプリがあって、そこで3年連続で1位になっています。卵かけご飯の食堂もあります。

 

【コーディネーター】

 卵かけご飯の神様みたいな人ですね。そういわれたら絶対なんとかしたいですよね。次は卵かけご飯みたいな。

 

【市長】

 加古川は、と畜する場所があって牛肉を出荷しています。加古川和牛のブランドもありますが、加古川和牛を出している焼肉屋はということはあまり知られていません。だから市に来た人に焼肉に連れて行って「加古川が和牛有名です」と言っても、その店の焼肉が加古川和牛でないということがあるんです。

 

【コーディネーター】

 どうにもならない問題は存在します。その場合はバサッと切り離しておいて。逆に解決できるならば皆さんの力でなんとかしていこうとなるのが、これがまちづくりです。

 次にGAP調査(地域資源の価値分析調査)を受けての提案です。

 重要なのは発地。来ていただく方の住所。住んでいるところに対して発信したときに、加古川に行ってみたいなと思わせるようなものが、まずあるかどうか。それを核にしていく。

 それから来てからの情報がどれだけあるか、がすごく重要であるということと、もうひとつは資源の価値が正しく伝わっていないということ。ただ卵かけご飯おいしいだけではなく「日本一の」と頭につけると変わる。

 それから観光はいろんな食事をしたり、宿でチェックインしたりする間に隙間時間が必ずできます。この隙間時間をどう使うかというのが実は非常に重要です。旅程の隙間時間で何か想定外の楽しみを見つけたというのが満足度に繋がります。“実は”がネタになるわけです。

 次にターゲット。戦略を考えるのに必要ですが「加古川は既に知ってますよ」という方と、「知らない」という方のどっちをとるかで意見が分かれます。

 

(参加者)

 やっぱり知らない人にどんどん来てもらった方がいいと思います。知っている人はある程度限定されてしまう。

 

【コーディネーター】

 例えば、新しく行うイベントは知らせる価値が大きいです。リピーターが非常に多い祭りなどは、新しいお客さんは入ってこないこともある。地域資源は知らせるだけではなく、中身を変えて興味を上げていかないといけない。「何をやるか」より「どうやるか」の方が重要で、最終的には「誰とやるか」が重要だと思います。

 次に観光客では、かつめしが満足度のところに入っていないですよね。

 

(参加者)

 かつめしのPRなどで、B1グランプリに参加していますがサプライズがないということで、案外上がってこないのでは。

 

【コーディネーター】

 なるほどね。味はいいけど、ちょっとそこのサプライズが足りなかったと?

 

(参加者)

 そうですね。「変わったもの」ではないと。

 

【コーディネーター】

 他の方はどうでしょう。かつめしはなぜ満足度が低いのか。

 

(参加者)

 かつめしへの期待が大きい。その大きい期待に対して、満足度があと少し。

 

【コーディネーター】

 期待が低ければ、求めるものも低い。逆に言うと皆さんもかつめしに期待しているんですよ。

 

(参加者)

 価格が高いから。

 

【市長】

 確かにカツ丼より高くなります。豚の方が安いから。一応かつめしのオリジナルは牛なんですよ。牛肉の方が高いから、どうしても値段は違ってきますよね。

 

【コーディネーター】

 でも、それは地元の方が考える値段ですよね。今観光客が平均、どれぐらいの昼食代を使っているかご存知ですか?

 

(参加者)

 1,200~1,300円ぐらい?

 

【コーディネーター】

 いい線です。1,400円超えています。ちなみに、道の駅などでは5,500円ぐらいです。

 満足度については、先ほどの「期待値が高い」というのはあると思います。値段は恐らく全然問題ないと思います。

 ただ、味の濃さはね、慣れてないと。でも、ご当地グルメはこれぐらいがちょうどいい。変に満足度が高いものだと「むっちゃ良い」「えーあんなの?」と意見が分かれることが結構あります。

 

【市長】

 私がよく市外から来る方に、かつめしはどこに行ったらいいですか、と言われたときに、公に「ここが1番うまい」というのは、なかなか立場上言いにくい。

 

【コーディネーター】

 本当に公平かどうかは別としても、公では言いにくいですよね。

 でも、民間の皆さんは言えますよね。私ここが好きっていうのは。その情報が例えばかつめしのフェイスブックを作って、私はここがいいとなれば、それを見に行くじゃないですか。

 市のホームページには、観光客は見に行かないですよね。

 情報が全てではないけれども、1番最初に知らない方と皆さんの地域とを何か接点にするのは、情報、メディアが媒介しますから、そこをうまく活用していただくことがポイントだと思います。

 「駅周辺の商店街、古い町並み」も地域によってはこれを生かしてやっているところもあります。

 

【市長】

 ちょうどその商店街の縦横の中に、古い建物のお店もありますよね。

 

【コーディネーター】

 そういう情報を欲しがっているのは誰か分かります?

 

(参加者)

 外国人?

 

【コーディネーター】

 当たりです。大きなチェーンのホテルは快適ですけど海外にもあります。彼らは日本を感じにきている。日本人にはそんなに魅力的に見えないかもしれないけど、人が変わればそういうふうに見える。

 行われている観光の調査では日本人の観光客は増えていない。もしかしたら今後は人口が減っていますから、観光客も減るかもしれない。しかし、外国人は圧倒的に増えてきています。

 

【市長】

 世界地図で見れば、淡路の端から大阪や京都は近いですよね。

 

【コーディネーター】

 それから「かつめし×スイーツ」。企画として面白そうだな、と思う方?

 

(参加者)

 女の子はカフェが好きなので、気軽に食べられるようなスイーツと一緒にかつめしも食べられたらいいと思う。

 

【コーディネーター】

 スイーツは絶対魅力的なコンテンツですよね。

 

【市長】

 東京の駅中にあるラーメン屋とかだと、普通に何割も女の人が食べていますよね。だから、やり方によっては、いろんなことが起こりうるなと思います。

 

【コーディネーター】

 例えば、宇治のお茶。普通のバニラにその粉をかけて食べるんですよ。おいしいですよ。スイーツに関しては、人を呼びこむ力がものすごいですよね。さらにお土産として買って帰れるという、その2段階のロケットでもっていくと、すごく可能性がでる。

 

【市長】

 八幡町でプリンを作って頑張っている中学生が地元の新聞に載りました。

 

【コーディネーター】

 それ、市を挙げてプランニングしましょうよ。

 「宝探し」なんか、やってみても面白いかなと思います。若手のプロジェクトを作って「加古川市宝探しプロジェクト」。

 地域でアイデアを企画にするところが足りないんです。アイデアを企画にしてくれたら行政も応援できるし、メディアも応援できます。ただ単にこんなのやりたいと言うだけでは駄目です。

もう1つ、情報は発信すればいいのではなく、お客さんに選んでいただく時代です。かつめしならかつめし、靴下なら靴下の価値を戦略的にイメージコントロールすることで、いくらでも形になります。

 最後に宣伝っていうのは資源が限られますから、メディアが喜ぶような広報の術、広報のプロになるようなまちづくりをやって欲しい。そうなると変わってくると思います。

 皆さんのような熱い方がリーダーにと言われるんですけど、社会が望んでいるものを思い描く想像力を持ってください。これはイケる、というこっちの想像力。もう1つ、地域が提案できることを形にする創造力です。頑張っていきましょう。

 

(参加者)

 「健康」というキーワードが少なかったように思います。高御位山という山には非常にたくさんの方が登っています。

 

【コーディネーター】

 「健康」は、これから観光でなくても絶対必要になってきます。ほとんどの方にとって避けて通れない。

 もう1つ「山登り」の関心度が高まっています。歩くとか登るとか、健康にちょっと触れたもの。「健康」のキーワードは大事だと思います。

 

(参加者)

 大学で観光の勉強をしているんですけど、加古川に住んでいる子がいて、「いいところは?」と聞いても「何にもない」という答えがすごく多い。地元の人に地元のここがいいよって言ってもらうには、どうしたらいいですか。

 

【コーディネーター】

 博多の街でガイドさんの養成をしたときに、街歩きコースを作って、最初に地域の人を案内しましたが、地域の人の満足度が1番高かった。地域の人が地域を知るっていうことが非常に重要です。

 

(参加者)

 150軒もかつめし屋さんがあるなら、B-1グランプリのように順位をつけるようにして、お店が切磋琢磨することを提案したい。

 

【市長】

 かつめしのランキングをつけるという話は、もう主体的にやっていただいている方もいます。ベスト3だけを公表するやり方もあるかもしれませんね。

 

【コーディネーター】

 観光地づくり、地域づくりを含めて、どこにでもありそうな素材をどこにも負けない戦略と組織でマネージメントしていく。だから、特別なものがないと観光にならないのかというとそうではなく、そこに「ご当地愛」があって、次に「育て愛」に変えて欲しい。そういう意味では、いろんなアイデアが出ると思いますが、それを企画にしていきながら、育てていくということを市民の皆さんのご理解をいただきたいと思います。

 

(参加者)

 高御位山の管理をしているんですが登山客は多い。しかし、トイレの問題でトラブルがちょくちょくおこる。

 

【コーディネーター】

 山とか海とかに観光客を呼ぼうとすると、トイレの問題は絶対出て来ます。まちが観光地などにトイレを作った後、管理も必要になります。そのすべてを業者で管理は出来ない。だから地域づくりとかまちづくりの中で、そういった面でも協議が出来るかどうかです。やるとは言いながら結果やめた、と言われたら困ります。

 非常に多くのお話がありましたが、また、お酒でも飲みながら皆さんと機会を作っていただければゆっくり話したいと思います。ありがとうございました。

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