ジャンボタニシの特徴と防除対策について
特徴
ジャンボタニシ(和名:スクミリンゴガイ)は南米産の淡水巻貝です。1980年代に日本に食用として輸入され、全国で500か所余りあった養殖場から逃亡・放棄されたものが野生化し、農作物に加害するようになりました。
卵は濃いピンク色で、50~700個の卵からなる長さ数cmの卵塊で、植物や水路壁へ産み付けられます。産卵は2~3か月続き、1匹当たりの年間産卵総数は約4,000個にもなります。
水田での寿命は2~3年で、2~38℃と広い範囲で生存します。一方で、寒さに弱く-3℃でほとんどの個体が3日以内に死亡します。西日本の野外での越冬率は10%未満です。稲刈り後は土中で越冬し(深さ6cm未満)、翌春、ほ場に水が入ると越冬貝は活動を再開し、夏に盛んに繁殖します。
雑食性で、特に柔らかい草を好むため、田植え後約3週間の小さく柔らかい苗が被害にあいやすく、水田に大きな被害をもたらします。
気温(℃) | 活動状態 | |
40 | 2~7日で死亡 | |
38 |
生 存 温 度
|
生存温度 |
30 | 発育適温 | |
24 | ||
17 | 活動停止 | |
14 | 休眠状態 | |
10 | 発育限界 | |
5 | 4~7日で死亡 | |
2 | ||
-3 | 約3日で死亡 | |
-6 | 約1日で死亡 |
東播磨農業改良普及事業協議会発行(H29.3)
「スクミリンゴガイの被害から東播磨地域の水稲を守ろう!!」引用
防除対策
★浅水管理
水深4cm以下で被害が減少するため、浅水管理や間断潅水で水深をできるだけ浅く保つ(水深1cm以下が理想)。その際、ほ場の凸凹をなくし均平にすること。
★殺卵
卵は水中では孵化しないため、卵塊を見つけたら潰すか、水中に落とす。ただし孵化間近の黒赤色の卵は水に落としても死なないので必ず押し潰す。
★貝の捕殺
2cm以上の貝は取り除く。
※除去するときは素手では触れずにゴム手袋やトング等を使用すること。もし、素手で触った場合は、石鹸で手をよく洗うこと。
★侵入防止対策
水路からの侵入を防止するため、水口にメッシュ金網や網袋を設置する。
★ロータリー耕耘
秋冬期に殺貝効果のある石灰窒素を散布し、耕耘する。土中の貝の越冬は深さ6cm程度までのため、耕耘深度は浅くて良いが、ロータリーの回転速度を上げ、走行速度を通常の1/2以下と遅くして耕耘する。
更新日:2021年02月16日