2008年8月号(特集 ミニ特集 タウンタウンなど)

更新日:2019年12月23日

2008年8月号(特集 ミニ特集 タウンタウンなど)

平成20年8月号目次

  • 特集 人権トーク
  • ミニ特集 下水道の役割としくみ
  • タウンタウン
  • こんにちは「誰も再現できなかった曜日変天目茶碗を作った 安藤 堅さん(81歳)」
  • 市民リポーターの「行ってきまーす!」「ファミリーサポートセンター」
  • グラフ加古川
  • 情報コーナー  別ページに掲載しています。
  • ドリーム サッカー
  • えんぴつ(編集後記)

特集

人権トーク
年齢に関係なく誰もが生き生きと暮らせるまちを目指して

現在、わが国では急速に高齢化が進んでいます。市でも人口に占める六十五歳以上の高齢者の割合が一八 八パーセントとなっており、今後も増加することが見込まれています。今月の特集では、本格的な高齢社会を迎えた今、誰もが暮らしやすいまちづくりを進めるにはどうすればよいか話し合っていただきました。

稲岡 指導主事(人権施策推進課)
冨田 節子さん(加古川市民生児童委員連合会理事)
岡田 圭一郎さん(加古川市老人クラブ連合会会長)
渋谷 哲さん(特別養護老人ホームせいりょう園施設長)

今、地域の中で、高齢者の置かれている状況を考えてみよう

稲岡 みなさんは、さまざまな立場で高齢者とかかわりを持たれていますが、どのような活動をされていますか。
岡田さん 私は、老人クラブで活動しています。私の住んでいる地区では四人に一人が高齢者という状況ですが、元気な人が多いですね。私も「老春は健康で美しく」をモットーに、老人クラブの活動を通じて知り合った仲間とスポーツや趣味などさまざまな活動をしながら、充実した毎日を過ごしています。
冨田さん 私は、民生委員 児童委員をしています。市内では、四百十一人の委員が、福祉にかかわるさまざまな相談に応じたり、ボランティア活動などの支援を行ったりしています。地域に住む高齢者には、定期的に訪問したり、支援が必要な場合は福祉サービスの情報を提供したりするなど、地域で快適に暮らせるようサポートを行っています。
渋谷さん 特別養護老人ホームの施設長をしています。特別養護老人ホームでは、健康で老いることができにくくなった要介護のみなさんに生活の場を提供しています。入所者のみなさんが個人の生活スタイルを大切にしながら、周囲の人たちとかかわりを持ち、快適に暮らしていけるよう、意識して介護にあたっていますね。
稲岡 「高齢者」と一言で言っても状況はさまざまなんですね。普段のみなさんの活動の中で、高齢者が置かれている現状で気になることはありますか。
冨田さん 毎年、高齢者の実態を把握する調査を行っていますが、一人暮らしや夫婦のみの世帯が増えてきていますね。若年世代との同居が少なくなり家族とのかかわりが希薄になっていることに加え、地域でも近所の人たちとの交流が少なくなっています。人とのつながりが少なくなっている状況に孤独を感じている高齢者が多いように思います。
岡田さん そうですね。最近の社会は他人に無関心で、人情が薄くなってきているように感じます。家族や隣近所の人が支え合うといったことも少なくなってしまい、高齢者にとって居心地のいい場所が少なくなってきているのではないでしょうか。老いに対する周囲のマイナスイメージも気になってしまいますね。
渋谷さん 入所者の話を聞いていると、認知症や介護など高齢者に関する問題を家庭で抱え切れなくなった家族が多くなっているようです。また、地域 家庭に居場所を見つけられず悩んでいる人、悩みや思いを打ち明け、相談できる人がいないといった人も多く、地域社会の許容量を広げる機会も減っており、高齢者を取り巻く問題は増えてきているように感じます。

生きがいを感じて暮らしていける地域づくりを考えよう
稲岡 みなさんは、地域での高齢者とのかかわりとして、具体的にどのようなことに取り組んでおられますか。
岡田さん 地区の老人クラブでは「どないや訪問」という活動をやっています。なかなか外出することのできない一人暮らしの高齢者宅を訪れて「最近どないや?」と世間話をしているんですよ。一人暮らしの寂しさが少なくなるよう、また次回の訪問を楽しみにしてもらえるよう頑張っています。
冨田さん 顔を合わせて話すことは大切ですね。私たちも、直接話せる機会を多く取るように努めています。一人暮らしや寝たきりの高齢者宅を訪ねたり、週に一度高齢者宅にお弁当を配膳している「老人給食」に多くの委員がボランティアとして協力したりしています。安否確認にもなりますし、コミュニケーションが取れ、相談しやすい環境づくりにもなります。給食の日を楽しみにされている高齢者も多いですね。
渋谷さん 要介護のみなさんが、子どもたちへ生きることの楽しさを伝えることも必要だと考えています。私の施設でも、日常生活で、いろいろな人と接することができる場を提供しているんですよ。趣味や体操などを通して入居者同士がふれあえる場を提供したり、地域の人と普段からふれあうことができる喫茶スペースを設けたりしています。施設内の生活でも地域で暮らしているのと同じように多くの人と接することができる工夫をしています。
岡田さん 現在、私の住んでいる地区では毎年、中学校の体育館を借りて、「両荘地区老人クラブふれあい運動会」という行事を実施しています。中学生もボランティアとして協力してくれており、毎回盛り上がっています。運動ができない人にも応援に来てもらうよう誘っているんですよ。運動会で知り合った人と新しい趣味やボランティア活動などを始めた人もいます。高齢者が気楽に集まれる場が増えたら、活動を通じていろんな人と交流することができるし、孤独感を持つ高齢者も少なくなってくると思うんです。
冨田さん 私の住んでいる町内会では、三世代交流の作品展を開催しています。子どもから高齢者まで幅広い年代の人が作品を出しているんですよ。作品を見に来ることで、家族や近所の人とのふれあいの機会が生まれますし、高齢者の技や知識を披露する場になっています。地域で自分の能力を発揮したり、経験や知識を生かしたりして社会参加できればと考えている高齢者も多いと思います。
岡田さん 高齢者が活躍できる場を作っていくことも、生きがいをもって暮らしていける地域づくりにつながると思いますね。

年齢に関係なく誰もが生き生きと暮らせるまちを目指して
みんなが支え合って生きていることを再認識しよう

稲岡 では、身体的理由などで地域で活動したくてもできない人にとって、生きがいを感じながら暮らしていくために必要なことは何でしょうか。
渋谷さん 老化に伴う体の機能の低下は避けることのできない「自然の摂理」です。介護が必要な人や病床に伏している人も、同じ人間として生きがいを見つけ、生きていると実感することが大切ですね。施設で働く私たちは、介護が必要な人を一人の人間として尊厳を保つことはもちろん、周囲の家族にもそれをしっかり認識してもらえるよう話し合いなどでサポートしています。大切なのは、やがて訪れる「死」を意識する中で介護を通してお互いが「生きる」ということについて真剣に向き合うことですね。
冨田さん 周囲の私たち一人ひとりが生きることに対する認識を持つことが大切なんですね。
渋谷さん 人はだれもが、周りの人のサポートを受け、支え合いながら暮らしているんです。介護が必要な人の社会貢献は難しいかもしれませんが、支え合いながら暮らしていることに代わりはありません。介護は面倒なこととか、家族に迷惑がかかることと考えるのではなく、「長寿の贈り物」と前向きにとらえたいですね。認知症の人の徘徊という行動に対しても、本人の能力でベストを尽くしている行為と周囲が受け止め、地域での理解と見守りが必要ではないかと思います。また「孤独であっても孤立させない」という地域の理解が必要だと思いますね。

日常生活の中でできることから行動に移そう

稲岡 今後ますます少子高齢化が進むと見られています。高齢でも生き生きと暮らすことができる社会の実現に向けて、普段の生活の中で私たちができることはあるでしょうか。
冨田さん 世代間のネットワークづくりとして、子どもから高齢者までだれもが参加できる行事が各地域で行われています。地域で行事があったら、気軽に参加していただき、たくさんの人と接してもらいたいですね。
稲岡 まず、何か地域の活動に参加してみるということですね。活動を通じて、いろいろな人や考え方に出会い、人とのつながりができれば、次の活動にも広がりが期待できますね。
岡田さん 私たち高齢者は、今までの人生経験を生かし、自分が学んできたことを、次世代を担う子どもたちに伝えるなど、まちづくりの一翼を担っていきたいと思っているんです。地域の伝承活動など、私たちが協力できる場があれば、ぜひ頼りにしてほしいと思いますね。
渋谷さん 要介護の高齢者が死と向き合い覚悟していくその中で、「世話を掛ける」「介護をする」という相互作用を通じて次世代の人たちが、生きる価値を見い出し、生きる力を育み、生きる覚悟を固め、子を産み育て、年齢に関係なくお互いに支え合う地域社会を作っていけるのではないかと思います。
冨田さん 学習会や講演会などで高齢者の思いや実態を地域のみんなに知ってもらうことも必要ですね。そして、だれにも訪れる高齢期を他人事ではなく自分自身のこととしてとらえ、高齢者を地域みんなで支え合っていける関係を築きたいですね。
稲岡 学習会などを利用して、みんなで考えていくことは大切なことですね。市でも、人権フォーラムや隣保館での講演会などを実施していますので、多くの人に参加してもらいたいと思います。
岡田さん 高齢者自身も地域の活動の担い手として頑張っていきたいと思います。若いみなさんも、地域や周囲の人にもっと関心をもってもらいたいですね。近所同士で気軽にあいさつしたり、回覧板をポストではなく、直接手渡しで持っていったり、日常の身近なことから地域のきずなは生まれると思うんです。あらゆる世代がお互いに尊重しあい、交流を深め、つながりを持つことで、生き生きと暮らせるまちにしていきたいですね。

人権を大切にする市民運動

人権教育講演会

各隣保館と志方会館では、差別のない明るいまちづくりを進めるために、講演会を開きます。いずれも参加無料です。

高齢者の人権を考える

  • とき 8月14日(木曜日) 13時30分から
  • ところ 中央隣保館
  • 講師 栗木剛(mottoひょうご事務局長)
  • 問い合わせ先 中央隣保館(電話 422-3606)へ。

音楽と時代精神

  • とき 8月6日(水曜日) 19時00分から 20時45分
  • ところ 別府公民館
  • 講師 松本城洲夫(イタリア生活文化交流協会会長)
  • 問い合わせ先 東部隣保館(電話 437-6600)へ。

ささえ合ういのち

  • とき 8月23日(土曜日) 13時20分から
  • ところ 西部隣保館
  • 講師 鹿多証道(妙正寺住職)
  • 問い合わせ先 西部隣保館(電話 428-3146)へ。

人生いつでも「これから」だ!

  • とき 8月7日(木曜日) 13時30分から
  • ところ 志方会館
  • 講師 水野修(市人権施策推進課 人権教育 啓発担当課長)
  • 問い合わせ先 志方会館(電話 452-3130)へ。

人権ポスター、ロゴマーク、標語 キャッチコピーの優秀作品が決まりました

(敬称略)
ポスター優秀賞
楠本 園子(野口北小学校6年)
窪田 有紗(氷丘南小学校5年)
戸田 千尋(東神吉小学校6年)
織田 陽里(東神吉南小学校4年)
水野 帆の夏(川西小学校5年)

標語 キャッチコピー優秀賞
さしのべた 手は小さいけれど 大きなちから
津田 直彦 (別府中学校2年)

差別をする人 される人あなたは見ているだけですか?
都藤 沙耶 (陵南中学校2年)

じぶんのきもち あいてのきもち いえる きける かんがえる
永吉 理瑚 (神野小学校1年)

きみのいいとこみつけたよぼくのいいとこみつけてね
岡田 由侑也 (上荘小学校2年)

もう言わない 人に言われていやな事。もうしない 人にされていやな事。
沖 真衣 (東神吉小学校4年)

ロゴマーク優秀賞
岡田 真実(平岡中学校2年)
柏原 駿也(陵南中学校3年)
柿田 拓夢(神吉中学校1年)
吉岡 愛(両荘中学校3年)
古田 絢子(陵南中学校1年)

2009年版人権カレンダーの作品を募集します

人権カレンダーに掲載する絵や詩などを募集します。家庭や地域で、明るいあいさつが飛び交うまちづくり、みんなの人権が守られている様子を自由に表現してください。グループでも応募できます。
内容 絵、イラスト、写真(被写体の了解を得たもの)、詩 随想 作文など(500字未満)
応募方法 8月31日までに、作品に(1)氏名(2)住所(3)電話 番号(4)学生は学校名 学年を書いて、直接持参するか、ファックス、郵送してください。
採用者には記念品を贈ります。

応募 問い合わせ先 郵便番号675-8501市役所人権施策推進課「人権カレンダー」係(電話 427-9356、ファックス424-1372)へ。

ミニ特集

わたしたちの川と海をもっときれいに
下水道接続にご協力ください

ぼくは、下水道マスコットキャラクター「スイスイ」。私たちが使って汚れた水は、地下の下水道管に流れ込み、下流浄化センターできれいにしてから自然に返しているんだ。今回は、下水道の役割やしくみについて紹介します。

下水道の役割

市では、みなさんの快適な生活環境を目指して下水道の整備を進めています。下水道には次のような大切な役割があります。

まちがきれいに
台所や風呂、トイレなどの汚れた水が、道路側溝や水路に直接流れなくなるので、悪臭やハエ 蚊などの発生を防ぎ、衛生的な環境になります。

さわやかな生活に
くみ取りや浄化槽の維持管理といった手間がなくなり、清潔で快適な環境になります。

美しい自然に
汚れた水を下流浄化センターできれいにしてから流すので、川や海はきれいで澄んだ水になります。

下水道Q&A

市の下水道はどのくらい普及しているの?
平成20年4月1日現在の整備人口普及率は、84.9パーセントとなっています。整備区域内の水洗化率は、93.4パーセントです。今後、多くのみなさんが下水道を使えることを目標にして、順次、整備をしていく予定です。

下水道使用料はどうやって決まるの?
水道水などの使用量によって計算されます。支払い方法は、水道料金と一緒に2カ月ごとに納めていただきます。

下水道使用料は何に使われているの?
使用料は、汚れた水をきれいにするための費用や下水道施設の維持管理、下水道整備などの費用に充てられています。

公共下水道への早期接続にご協力ください

せっかくできあがった下水道管も、各家庭に接続しなければ生活環境の改善は進みません。
公共下水道が整備されている地域のみなさんは、下水道の接続にご協力をお願いします。
市では次のような助成 あっせんを行っていますので、ご利用ください。

水洗化助成金制度
公共下水道が供用開始されている区域において、供用開始日から3年以内にくみ取り便所または浄化槽を廃止して公共下水道に接続するときに、助成金を受けることができます。くわしくはお問い合わせください。

くみ取り便所を水洗便所に改造する場合の助成金
便槽1カ所につき 50,000円
2カ所以上の場合、2カ所目から1カ所増すごとに 30,000円

浄化槽を廃止して公共下水道に接続する場合の助成金
戸建住宅及び賃貸集合住宅(浄化槽1基につき)10人槽以下 25,000円
戸建住宅及び賃貸集合住宅(浄化槽1基につき)11から50人槽 50,000円
戸建住宅及び賃貸集合住宅(浄化槽1基につき)51人槽以上 75,000円
分譲集合住宅または地域で集中処理をする場合(1戸につき) 25,000円

融資あっせん制度
くみ取り便所を水洗便所に改造する場合は100万円まで、浄化槽を廃止して公共下水道に接続する場合は50万円までの融資を市内の金融機関から受けられる制度もあります。くわしくはお問い合わせください。

下水道のしくみ

私たちが使って汚れた水は、図のような経路を通って、自然に返されています。

食器を洗ったり、お風呂やトイレで流したりした水は、各家庭の敷地内の中間ます、最終ますを通って道路の下の公共下水道管に流れ込みます。

汚れた水は、下水道管を通って下流浄化センターに集まります。ここで、ごみや砂などを取り除いたり、有機物を微生物により分解したりして、きれいに処理された水は、川や海に流されます。

気をつけよう!

その1
排水設備工事は市指定工事店で

排水設備工事は、市が指定する工事店でなければできません。工事店は、みなさんに代わって市へ申請手続きを行い、定められた基準に基づき工事を行います。工事を行う際は、工事内容、金額などに納得した上で必ず契約を交わしてください。  市指定工事店一覧は市のホームページに掲載しています。

その2
敷地内の排水設備の管理は個人で

敷地内のますには、小さなごみがたまっていきますので、月に1回程度は掃除をしましょう。
敷地内の配管やますなどの詰まりがひどく、個人では手に負えない場合は、市が指定する工事店へ連絡してください。清掃費用などについては、個人負担となりますので、作業内容や見積書を十分に確認してください。取付管や本管の詰まりは、市役所下水道経営課へ連絡してください。

その3
悪質商法にご注意を

市役所から委託されたように装って、家庭内の排水管の点検や汚水ますの掃除などを行い、高額な料金を請求する悪質商法が多発しています。市では家庭内の排水管の点検や清掃を業者に依頼することはありませんので、注意してください。怪しいと感じたら市役所下水道経営課へお問い合わせください。

下水道は自然や生活環境をよりよくするためのみんなのものです。大切に正しく使用しないと詰まりや故障の原因となります。毎日の生活の中で一人ひとりが次のことを守ってください。

  • 食べ残しやごみ、使い終わった油などを流さない
  • 水に溶けやすいトイレットペーパー以外のものは流さない
  • マンホールや道路側溝に砂やごみを入れない

みんなの下水道です。正しく使いましょう!

問い合わせ先 市役所下水道経営課(電話 427-9286)

  • 「やさしさと 自然を結ぶ 下水道」 9月10日は「下水道の日」です。快適な生活環境をつくるため、下水道の普及促進にご協力ください。

タウンタウン

こんにちは
数百年間誰も再現できなかった曜日変天目茶碗を作った
科学と芸術の融合を目指して

安藤 堅(あんどう けん)さん(81歳)
平岡町在住

「この紋様(もんよう)は、釉(ゆう)薬に付着したごくわずかなレアメタルが引き起こした「地球のいたずら」なんですよ」と話すのは安藤堅さん。黒色の器に星々が輝くような模様が美しい「曜日変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん)」。中国の福建省で約八百年前に作られ、現存するのは日本にある国宝三点だけと言われている。安藤さんは、製法が謎に包まれ、誰も果たすことができなかったその再現に成功した、曜日変天目研究の第一人者だ。
化学関係の会社で研究職として働いていた安藤さん。曜日変天目茶碗の研究に取り組んだきっかけは、一枚の写真だったという。「四十五歳で会社を辞めて、前人未到の研究に挑戦しようと考えていたんです。一目見て、物理化学のさまざまな現象が複雑に入り組んでできた奇妙な模様だなと思い、心惹かれました。そして調べるうち、曜日変と呼ばれるこの模様を誰も再現できていないと知り、これだと決めたんです」と振り返る。
四十八歳のとき、勤めていた会社を退職して奈良県生駒市で研究を始めた。「実物を見ることができない状況の中、徹底的に写真を見つめて器の表面で起こった現象を考えました。疑問点や、あいまいさを残さず検証する科学的な視点から約二千通りの仮説を立てて、研究をスタートしました」と話す安藤さん。釉薬の焼成時の変化に着目して実験 分析を繰り返し、研究を始めてから一年九カ月後の一九七七年九月、ついに曜日変現象が現れた茶碗を作り出した。
その後も研究を続けた安藤さん。しかし、一度の窯焼きにかかる約七十時間、一睡もせずに二分三十秒窯の中を観察しては三十秒休むということを繰り返す作業は、体の負担となっていた。一九九一年に心臓の病で倒れてからは、次第に作陶から遠のいていったという。「観察中も分子の動きや配列などを自問自答することの繰り返しで、体も頭も休まることがない、命を削るような作業でした。曜日変が生じるメカニズムを知りたいという強い好奇心があったから続けられたんでしょうね」と話す。
療養で各地を転々とする中、二年前に加古川へ引っ越してきた安藤さん。シニア世代を応援するNPO法人代表の宮瀬さんと出会い、六月にはその事務所内にギャラリー「遊熙庵(ゆうきあん)」をつくった。ギャラリーには、安藤さんのほか、地元の陶芸家の作品なども展示されている。「最近では、現存する三碗と異なる製法で曜日変に似た模様を描いた碗もありますが、私のものは当時と同じ一度の窯焼きで作ったものです。時の権力者も魅了されたという、ミクロの世界で分子が織り成す「碗の中の宇宙」を見て感じてもらえたらうれしいですね」と笑顔で話してくれた。

(掲載写真キャプション)

  • 安藤さんが作った曜日変天目茶碗。見る角度によってさまざまな色に変わる。
  • 住宅相談や交流の場づくりなどを行っているNPO法人シニアエージェントの事務所で談笑する安藤夫妻と宮瀬さん。

安藤さんの作品が、8月3日から9日に市民ギャラリーで行われる「加古川市美術協会彫塑 工芸部作品展」に展示されます。

市民リポーター阿部 英美の「行ってきまーす!」

「安心」と「やりがい」の橋渡し

仕事や急な用事などで、子どもたちの預け先をどうしよう? と悩むことの多い夏休み。留守番させるのは心配だし、預ける場所もない 。そんな時にサポートしてくれる強い味方がいるらしい。くわしく話を聞きに

ファミリーサポートセンターに行ってきまーす。
ファミリーサポートセンターでは、子どもを「預かってほしい人」と「預かりたい人」がそれぞれ依頼会員、提供会員になって、地域の中で子育てを助け合うという事業を行っているそうです。生後六カ月から小学六年生の子どもがいる人なら誰でも依頼会員として登録でき、保育園などへの送迎や急な外出時など、必要なときに有料で預かりをお願いできます。平成十五年七月にスタートし、年々会員数も増え、活動件数は月七百件にもなるとか。提供会員は、子どもたちとの遊び方や、救急救命法などを学ぶ講習を受ける必要はあるものの、子育て支援に感心のある人なら誰でも登録できるそうで、依頼 提供会員とも登録は無料。「提供会員は十代から七十代までと幅広く、男性会員もいるんですよ」とアドバイザーの大辻さん。どんな活動なのか見てみたい! とお願いし、

提供会員の活動に密着することに。
夫婦で活動されているお二人は、今年の四月から毎週火 水曜日の二回、仕事中の両親に代わり三姉妹の迎えを担当しています。夕方五時半ごろ、双子の姉妹が通う保育園に車で到着。元気に子どもたちが出てくると「お帰り」と笑顔で迎えます。子どもたちが車に飛び乗る場面は、本当の家族さながら。「今日はカレーなの」「保育園の給食もカレーだったんだよ。一緒だね」と車中では楽しい会話も弾みます。その後、お姉ちゃんの迎えを済ませ、五人を乗せた車は無事家へ到着。「ありがとう」と帰っていく子どもたちを見送りながら「孫みたいなもんや」とうれしそうに話すお二人。「今後は、研修を受けて障害児の受け入れもしていきたい」と意気込みを語ってくれた表情は温かく、キラキラと輝いていました。

「本当に感謝してます」と
帰路につく二人を見送りつつ、話してくれた子どもたちのお母さん。二年前に友人の紹介で登録した時は、知らない人に子どもたちを預けることに不安を感じていたそうですが、提供会員を紹介された後、顔合わせをするなど、ファミサポの細かい配慮のおかげで今は安心して任せられるとか。「これまでは私の両親にお迎えを頼んでいましたが、週二日ファミサポにお願いすることで両親の負担も軽くなり、助かっています」と笑顔を見せてくれました。
子どもを預ける場所がない 。私も何度か困ったことがあります。そんな子育ての不安や悩みを、地域のみんなで助け合って取り除いていこうというファミサポは、依頼会員には安心を、提供会員にはやりがいを提供し続けています。預ける側が依頼の手を伸ばせば、預かる側がしっかり握ってくれる――。そんな深い心と心の結びつきを見つけたような、温かい気持ちになりました。

ここで一句
手に入れよう ゆとりと安心 ファミサポで

(掲載写真キャプション)

  • 赤のエプロンを付けてお出迎え。子どもたちも二人の姿を見つけて思わず笑顔です。
  • ファミサポ主催のお楽しみ会。その場で依頼会員の申し込みもできます。通常はファミリーサポートセンター(JAビル4階)へ。

8月6日(水曜日)、ファミサポフェスティバルが開催されます。提供会員によるバルーン遊びなど盛りだくさんの内容。くわしくは情報コーナーをご覧ください。

グラフ加古川

願いがかないますように

7月5日、海洋文化センターで「七夕かざりを作ろう」が行われ、小学生以下の子どもと保護者63人が参加しました。絵本の読み聞かせを楽しんだり、みんなで七夕の歌をハンドベルで演奏したりした後、七夕飾りづくりに挑戦。子どもたちは、折り紙でちょうちんや三角形の飾りなどを作り、「25メートル泳げるようになりますように」など思い思いの願い事を書いた短冊と一緒に、ササに結びつけました。

あこがれの選手の直接指導にドキドキ!

V プレミアリーグ女子バレーボールチーム「JTマーヴェラス」の選手らによるバレーボール教室が、6月21日に総合体育館で行われました。一流選手のプレーを見たり指導を受けたりする機会を提供しようと開催されたこの教室には、市内8中学校の女子バレーボール部員152人が参加。パスやスパイクなどの練習では、選手からアドバイスを受け、真剣なまなざしで聞き入っていました。

エコらむ その7

「エコらむ」は、環境(エコ)に対する市の取り組みや提案などを紹介するコラムです。

廃棄物の発生抑制 再利用 再資源化などによって天然資源の消費量を減らし、環境への負荷をできるだけ少なくする「循環型社会」。今回は、その実現に向けて市が進めている主な取り組みを紹介します。

ごみの減量化 資源化に向けたさまざまな取り組みを進めています

市では、家庭で不用になった物や譲ってほしい物の情報を掲載し、みなさんに情報提供する、リサイクル情報誌「ば と ん」を毎月発行し、ごみの減量と資源の有効利用を促進しています。また、電動式生ごみ処理機の購入補助や資源ごみ集団回収運動への奨励金制度などにより、家庭ごみの減量と再資源化にも努めています。さらに、今年1月には、市消費者協会、生活協同組合コープこうべ、市の3者で「レジ袋削減に向けた取り組みに関する協定」を結びました。
こうした取り組みの結果、昨年度中に市内で排出されたごみの量は10万685トン。前年度に比べ5.4パーセント削減されました。
循環型社会の形成には、一人ひとりがごみ問題を身近な問題としてとらえ、できることから取り組んでいくことが不可欠です。みなさんも、今日から何かひとつ、環境にいいことを実践してみませんか。

次回は、10月号で「資源ごみ集団回収運動への取り組み」について掲載します。

ドリーム サッカー「日本代表OBがやってくる!」

宝くじスポーツフェア

サッカー元日本代表選手によるドリームチームが、サッカー教室や地元選抜チームと親善試合などを行います。抽選会もありますので、ぜひご参加ください。

とき 9月15日(祝日)

ところ 運動公園陸上競技場

荒天などの場合は、総合体育館で内容を変更して開催。
JR宝殿駅から臨時バスを運行します(有料)。

入場料
無料(入場整理券が必要)
 

入場整理券配布場所(8月8日より配布)
市役所ウェルネス推進課、各市民センター 公民館、スポーツセンター、ウェルネスパーク、総合体育館、陸上競技場、市民会館

参加予定選手
松木 安太郎
澤登 正朗
相馬 直樹
中西 永輔
森 孝慈  大仁邦彌  木村和司  永島昭浩 
水沼貴史  信藤健仁  松浦敏夫  大野俊三
山口素弘  戸塚哲也  望月 聡  松原良香 
望月重良  前田 治  山口 悟  岡中勇人   
金田喜稔  名良橋晃 

プログラム

10時00分から少年少女サッカー教室
12時00分からドリーム抽選会
12時00分までに入場した人は、サイン入りボールやスポーツバッグなどが当たる抽選会に参加できます。

元日本代表選手との記念撮影会の参加者を募集!

  • 時間 12時20分から
  • 対象 市内に住んでいるか通勤 通学している人 グループ
  • 定員 8組(申込者多数の場合は抽選)
  • 申込 問合先 8月15日(消印有効)までに、往復ハガキに(1)住所(2)参加者全員の氏名(3)年齢または学年(4)電話 番号(5)返信ハガキにあて名を書いて、郵便番号675-8501 市役所ウェルネス推進課へ。

13時00分から PK戦「志方中学校VSドリームチーム」
13時15分から リフティング競争
13時30分から ドリームゲーム

「加古川市選抜チーム(社会人)VSドリームチーム」前 後半各30分(ハーフタイム15分)。

当日、先着2,000人に宝くじグッズが当たります!

  • 問い合わせ先 市役所ウェルネス推進課 電話 427-3069

えんぴつ

表紙の撮影で、西神吉幼稚園に行きました。写真のミニ電気機関車は、地元老人クラブの旧国鉄OBの人が趣味で作ったもの。それをクラブの有志が、何と六十三メートルものレールと一緒に持ち込んだそうです。子どもたちは、走る機関車に歓声をあげていました。
そんな中、私の印象に残ったのは、クラブのみなさんの目が子どもたちに負けないくらいキラキラと輝いていたこと。「子どもたちを楽しませてあげよう」と頑張る姿を見て、あんなふうに素敵に年齢を重ねられたらいいなと思いました。 (岡)

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