「ため池みらい研究所」柴崎浩平さん

更新日:2023年05月19日

加古川人

加古川という土地に根差し、自分らしく生きる人たちのリアルな声を通して、このまちと人の魅力に迫ります。

entry029「ため池がある暮らしっていいなと思える地域にしたい!」

一般社団法人ため池みらい研究所 代表理事|柴崎浩平さん

行政と大学が締結した連携協定のもと、ため池管理者などと「(一社)ため池みらい研究所」を設立した柴崎さん(兵庫県立大学 助教)。ため池が抱える課題や可能性、同研究所の活動内容について、柴崎さんにお話を伺いました。

笑顔の柴崎さん

ため池との出会い

ため池の調査研究を2016年頃からはじめました。日頃からため池を管理されている農家の方々の話を聞く中で、水を持続可能な形で管理していくための仕組みに興味を持ちました。その仕組みは、長い年月をかけて作られてきたので、集落ごとで異なるなど、大変奥深いです。ため池は降水量が少ない地域で、農業用に作られてきました。その数が日本で一番多いのが兵庫県です。雨水だけを利用するパターンや、遠くから水を引っ張ってくるパターンなどがあるのですが、加古川市内には、前者のパターンが多く存在します。これは全国的にも非常に珍しいんです。

適切な管理や新たな活用を目指して

ため池は、水利組合など農家の方々がメインとなって管理しているのですが、農業者が減るなか、適切に管理していくことが難しくなっています。その結果、様々な問題が顕在化しています。1つは、災害。ため池の堤防の漏水・決壊の発生件数が多くなっており、人が亡くなるケースも発生しています。
同研究所では、ため池を適切に管理できる仕組みや、新たな活用方法を創造しています。ため池を管理するための仕組みは、良くも悪くも「昔のままのルール」が多くあるため、現代にあった形にアップデートしていく必要性を感じています。ため池管理組織を対象とした研修会を実施したり、草刈りや会計業務などため池の管理作業に市民が関わりやすい仕組みを作ったり、ため池を活用したビジネスの創出に向けた取り組みなどをおこなっています。

地域の方と一緒にため池を管理していく様子

地域と悩み、一緒に活動する

行政や大学と連携しながらも、市民を主体とした活動を展開したいという思いから、「(一社)ため池みらい研究所」を設立しました。設立メンバーは、ため池管理者や民間事業者などです。
同研究所では、研究員主導のプロジェクトを、事務局や理事をはじめとするメンバーが支えるといった仕組みを作っています。「研究員」というと、大学などの研究者を想像しがちですが、同研究所は、広く「市民」を想定しています。現状をより良くしていくプロジェクトを展開していきたい、という思いを抱く市民(研究員)を支えることを促し、多様な活動が生まれやすいムードを作っていきたいですね。現在、毎月開催している理事会にて、同研究所の運営体制や各種プロジェクト、イベントの内容などを話し合っています。先進的な事例をこの加古川市でつくりだし、ため池がある暮らしっていいなと思える地域をつくっていきたいです。

研修会で説明する柴崎さん
プロフィール

一般社団法人ため池みらい研究所|柴崎浩平さん
加古川市在住。神戸大学大学院農学研究科地域連携センター特命助教などを経て、現在は、兵庫県立大学環境人間学部助教。2021年9月に(一社)ため池みらい研究所を立ち上げ、代表理事として幅広く活動中。
ため池みらい研究所 HP

この記事に関するお問い合わせ先

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電話番号:079-427-9222
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