「作家」玉岡かおるさん

更新日:2021年12月16日

加古川人

加古川という土地に根差し、自分らしく生きる人たちのリアルな声を通して、このまちと人の魅力に迫ります。

entry013「歴史の表舞台で語られずにいる人々の業績に光を」

作家|玉岡かおるさん

「夢食い魚のブルー・グッドバイ」で作家としてデビューし、地域を舞台にした作品を数多く執筆されている玉岡かおるさん。現在は大阪芸術大学教授も務めながら、能の原作・演出にも挑戦するなど幅広い分野で活躍されています。最新作「帆神」では、播州高砂の偉人であり北前船を馳せた男・工楽松右衛門と彼を支えた女性たちの生涯を描き、大きな反響を呼んでいます。

玉岡かおるさん

水のあるまちの魅力

加古川市は、本当に便利で住みやすいまちですね。鶴林寺周辺・加古川河川敷は広々としていて居心地が良く、子どもが幼い頃はよく散歩やピクニックに行きました。また、高御位山の頂上から一望できる、ため池が点在する風景の素晴らしさには心を打たれます。これだけ多くの水の源を先人が苦労して作り上げてきたのだと思うと、この先もこの風景が失われずに続いていくことを願うばかりです。川とため池という「水のあるまち 加古川」が好きなので、皆さんにも改めてその素晴らしさを感じていただけたらと思っています。

インタビューに答える玉岡かおるさん

作品を通して生みだされるもの

小説では、歴史の表舞台で語られずにいる人々の業績に光を当てて書くことを続けています。歴史の話になると勝敗や数字に目が行きがちですが、そこにあるプロセスや心の動きなども表現し、感じ取っていただきたいと思っています。小説の影響力はけっして小さくないけれど、読んでもらわないと伝わらないし、読んでもらっても伝わり方は人それぞれ。私の仕事は、水面にひとつの小石を投げること。その水面にできた輪はいずれ消えていくけれども、輪を掴んでくださる皆さんがいると何か別のものが生まれるし、その人の影響力で輪がもっと大きくなることもあります。そうなっていけばと願いつつ、毎回作品を書いています。

播州高砂出身の偉人・工楽松右衛門を描いた最新作「帆神」

地域で活躍できる場を

子育てでなかなか遠方へ取材に行けなかった期間は、ここに住んでいるからこそ知ることができる、いわば「日々が取材」というメリットを生かして執筆活動を行っていました。結果として、地域の読者の方からとても大きな反響があり、自分の作品を通してふるさとに愛着を持っていただけたのは嬉しかったですね。

播磨地域には素晴らしい文化活動を行う方が数多くいらっしゃいます。もっと活躍できる場所を増やすなど、地域の活力を生む環境づくりには、今後も惜しまず協力していきたいです。

プロフィール

作家|玉岡かおるさん

加古川市在住。神戸文学賞受賞作「夢食い魚のブルー・グッドバイ」で’89年文壇デビューし、これまで歴史小説や現代小説、紀行・エッセイ集などを多数出版している。現在は大阪芸術大学教授、いなみ野ため池ミュージアム運営協議会会長など幅広い分野で活動中。

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