「岡田本家」代表 岡田洋一さん

更新日:2021年04月13日

加古川人

加古川という土地に根差し、自分らしく生きる人たちのリアルな声を通して、このまちと人の魅力に迫ります。

entry005「酒造りを続けることで、加古川の産業も盛り上げたい」

合名会社 岡田本家 代表|岡田洋一さん

加古川市で唯一の酒蔵「岡田本家」の代表を務める岡田洋一さん。平成22年(2010)に創業時からの銘柄「盛典(せいてん)」を復活させ、令和2年(2020)には大阪国税局清酒鑑評会燗酒部門で優秀賞受賞、全国新酒鑑評会で入賞するなど、その丁寧な酒造りに注目が集まります。地元の高校生とのコラボも手掛けるなど、加古川ならではの酒造りに取り組む岡田さんを訪ねました。

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加古川唯一の酒蔵の再出発

私は酒蔵の長男として生まれ、大学卒業後に白鶴酒造で3年ほど働いてから、家業を継ぐため加古川に戻りました。岡田本家は明治7年(1874)創業以来、「盛典(せいてん)」というお酒を造っていましたが、戦後は大手酒造メーカーの下請けを始めたため、「盛典」の販売はストップ。日本酒消費量が落ち込み、下請けでの製造もなくなるので蔵を閉めようという話もありました。

しかし、ちょうどその頃、加古川にもう1軒あった酒蔵がなくなり、うちが最後の1軒になってしまったんです。加古川にも一時は酒蔵が14軒ほどありました。「ゼロになるのは寂しい」と、地元の方々からの思いを受けて、平成22年(2010)に1人で酒造りをスタートしました。当初は販売先もなく、営業する暇もありませんでしたが、周りの方が自腹でお酒を買って、居酒屋や酒屋さんに持ち込んで「加古川でこんなお酒を造っているところがあるよ」と営業してくれたんですよ。

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地酒「盛典」、おいしさの秘密

2年ほど前から、私に酒造りを教えてくれた杜氏を迎え、私自身はオーナー蔵人として、二人三脚でお酒を造っています。年間約2万リットルを醸造し、瓶詰めもすべて手作業です。地酒=濃いというイメージがあると思いますが、「盛典」はサラッとしたきれいなタイプのお酒で飲みやすく仕上げています。

こだわりといえば、酒造りでもろみを搾るときに、圧を加え過ぎないように心がけています。たくさんの量が取れますが、搾り過ぎると雑味が出てしまいます。量よりも品質を一番に考えています。

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加古川の人に愛されるお酒を目指して

「盛典」は、地下50メートルからくみ上げる水と、兵庫県下の契約農家さんや兵庫県立農業高校の生徒が育ててくれた山田錦、そして自社栽培米「五百万石」を使って仕込みます。今後はより蔵に近いところでとれた酒米を使いたい。そうすれば加古川で農業を志す若い人たちを支えることができる。お酒を造る水とお米を作る水は、近ければ近いほど相性がいいですから。

酒造りを続けられるのは、加古川の人に愛されてこそ。一番飲んでほしいのは、やっぱり加古川の人たちです。酒蔵にも気軽に足を運んでいただけたらうれしいですね。

プロフィール

合名会社 岡田本家 代表 | 岡田洋一さん

加古川唯一の酒蔵「岡田本家」(野口町良野)代表。オーナー蔵人として杜氏と2人で酒造りを行う日々。代表銘柄の「盛典」のほか、等外米を使った新しい酒造りにもチャレンジしている。

この記事に関するお問い合わせ先

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住所:加古川市加古川町北在家2000
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