桃の節句の皆既月食(2026年3月3日)[解説]

更新日:2026年02月19日

03月03日(火曜日)は女の子の健やかな成長と健康を願う桃の節句、いわゆる「ひな祭り」の日です。今年はそんな日の夕方、月が欠けて赤く見える不思議な天文現象「皆既月食」を観察することができます。
日本から観察できる月食としては、2025年09月08日の皆既月食以来で約半年ぶり。ただし、この時は週明け月曜日の日の出前の現象で観察のハードルがやや高かったことから、夕方の観察しやすい時間帯に見られるものとしては、2022年11月8日夕方の皆既月食以来“約3年半ぶり”となります。

ご自宅から気が向いたときに外へ出て眺めて楽しむこともできますが、少年自然の家では今回の月食にあわせて特別観望会を実施いたします。月食中の月を大型望遠鏡で観察できるほか、屋内ではプロジェクターを用いて月食の生中継を投影するライブビューイングをあわせて実施いたします。周りの方々と体験を共有できる貴重な機会となりますので、皆さま是非ふるってご参加ください!

03月03日(火曜日)の皆既月食について

今回の月食では月が地球の影にすべて隠される「皆既月食」を観察することができます。(月食のしくみについては後述)
月食のタイミングによっては、欠け始めのタイミングに月がまだ地平線下にあってすでにいくらか欠けた状態で月が昇る「月出帯食(げつしゅつたいしょく)」や、反対に欠け終わりのタイミングの前に月が欠けたままの状態で月が沈む「月没帯食(げつぼつたいしょく)」となる場合がありますが、今回の皆既月食は3年半前(2022年11月)と同様、部分食の開始から全ての過程を見ることができます。

加古川市立少年自然の家における、当日の月食のタイムスケジュールは次の通りです。なお、時刻と食分は(月食が見えている地域なら)世界共通であり、方位角や高度も加古川市内であればこの表とほぼ同じになります。

  時刻 食分 方位 方位角 高度
半影食開始 17時44分すぎ ---   81度 -1.4度
  下記の時刻より前は、月が地平線より下にあって
観察することはできません。
月出 17時47分すぎ --- 81度 -0.8度
日没 17時59分ごろ --- 83度 1.4度
(市民薄明終了) 18時23分ごろ --- 86度 6.1度
(自然の家から見て
山の稜線からの)
月出
18時47分ごろ --- 90度 10.8度
部分食開始 18時50分ごろ 0.00 90度 11.4度
(航海薄明終了) 18時52分すぎ 0.04 91度 11.9度
(天文薄明終了) 19時21分すぎ 0.47 95度 17.7度
食分0.5 19時24分ごろ 0.50 95度 18.1度
皆既食開始 20時04分すぎ 1.00 東南東 101度 26.0度
食の最大 20時33分すぎ 1.15 東南東 106度 31.7度
皆既食終了 21時03分ごろ 1.00 東南東 112度 37.1度
食分0.5 21時43分すぎ 0.50 東南東 121度 44.3度
部分食終了 22時17分ごろ 0.00 南東 130度 49.8度
半影食終了 23時23分ごろ --- 南南東 154度 57.8度
月南中 (04日)00時18分すぎ --- 180度 60.2度
  • 時刻はステラナビゲータVer.11より算出。地球の影の大きさの見積もり等の関係上、国立天文台や各種天文サイト等の発表と多少の誤差がみられる場合がありますが、肉眼での観察に大きく影響するものではありません。
  • 食分とは、月をおおう地球の影(本影)の直径の割合を表しています。影におおわれた部分の面積の割合ではありませんのでご注意ください。
  • 方位角は真北を0度とし、そこから時計回りに一周360度で表現しています。よって、真東・真南・真西の方位角はそれぞれ90度・180度・270度となります。
  • 薄明とは、地平線より下にある太陽の光によって空の明るさに影響がある時間帯を指します。目安として、市民薄明の終了までは外で本の字を読むことができ、航海薄明の終了までは外洋の船舶から水平線を判別でき、天文薄明の終了以降は太陽の光が空の明るさにほぼ影響しなくなる時間帯、と見なされています。
皆既月食の経過

当日の月食の経過

月食のしくみについて

「月食」を一言で言うと、地球の影が月を隠す現象、です。
ふだん月は太陽の光を反射することで光って見えますが、太陽-地球-月の順にこれらの天体がほぼ一直線に並んだときには太陽の反対側へ伸びた地球の影の中を月が横切っていくことになり、影がさした部分には光がほとんど届かず月が欠けたように見える、というわけです。

月食の種類としくみ

月食が起こっているとき、月食の状態は月におちる影の種類によって(便宜上)「半影食」と「本影食」の2種類に分けることができ、さらに「本影食」は影の当たり方によって「部分月食」と「皆既月食」の2種類に分けられます。

月食のしくみ

月食が起きているときの3天体(太陽・地球・月)の位置関係。
[画像引用:国立天文台]

上の図のように地球の影には、太陽の光が一部届く半影と、太陽の光がほとんど届かない本影の2種類があります。
(もし影の中から地球や太陽の方向を眺めたとすると、半影の中から見た場合は地球の後ろから太陽の一部が顔をのぞかせて太陽の強い光が見えますが、本影の中からだと太陽は地球にすべてかくされています。)

月におちる影が半影のみの状態の月食を「半影月食」と呼びますが、こちらは月におちた影があまり目立たず、写真に撮影してようやく暗くなっていることが判別できる程度のため、一般的に注目されることはほとんどありません。

通常、ニュース等で取り扱われるような月食は一般的に「本影食」の状態の月食を指し、月の一部に本影がおちて月が欠けたように見える状態を「部分月食」、月が本影にすっぽりおさまって月全体にわたり太陽の光がほとんど届いてない状態を「皆既月食」と呼びます。

部分月食

部分月食。2014年10月8日撮影。

皆既月食

皆既月食。2014年10月8日撮影。

ところで、皆既中の状態の月には先述のように太陽の光はほとんど届いていません。
しかし、実際に皆既中の状態の月を観察してみると、上の写真のようにうっすら赤味がかった「赤銅(しゃくどう)色」にあやしく光る様子を観察することができます。
実はこれ、暗く見える影の中に太陽の光の赤色の成分が入り込んでいるためです。

皆既月食が赤く見える理由

皆既状態の月が赤く見える理由。[画像引用:国立天文台]

上の図のように、地球本体にさえぎられることで本影の中には太陽の光のほとんどが届くことはありません。

しかし、地球には表面をおおう大気(空気)の層があり、この層を通過した太陽の光は大気によって大部分が散らされてしまいますが、その中で赤に近い成分の光はこの大気の層を通過して再び宇宙空間へと飛び出していきます。その際、地球の大気がレンズのような役割を果たすことで光の通り道が曲がり、本影の内側にこの赤い光が差し込むことになるのです。

この赤い光に照らされた月はほんのりと暗く赤黒い血の色の様に光って見えるため、皆既中の赤い月を「ブラッドムーン(Blood Moon)」と表現することもあります。

次回以降の月食

月食は年間を通して1~2回起こっていますが、これは日食が地球全体で年に2~3回起こっていることと比べると、数字の上ではやや少ないように思えるかもしれません。
ただし、世界的に見てごく限られた地域でしか観察できない日食に対して、月食はその時に月が見える地域であれば世界のどこからでも観察することができるため、現実的には日食よりも月食を目にする機会の方がはるかに多くなります。

今回を含め、この先2037年までの約10年間に加古川市内から見ることができる月食を表にまとめてみました。

年月日 時間帯 最大食分
[皆既継続]
最大食 備考
2026年03月03日 夕方~
夜半前
1.15
[59分]
皆既食 好条件。全過程を観察できる。
同日は桃の節句。
2028年07月07日 未明~
明方
0.39 部分食  
2029年01月01日 夜半~
未明
1.25
[72分]
皆既食 好条件。全過程を観察できる。
2029年12月21日 早朝 1.12
[55分]
皆既食 月没帯食。加古川では惜しくも、
皆既状態になる数分前に月没。
2030年06月16日 未明~
明方
0.50 部分食 月没のギリギリ10分前に終了。
2032年04月26日 夜半 1.19
[66分]
皆既食 好条件。全過程を観察できる。
2032年10月19日 未明~
明方
1.10
[48分]
皆既食 好条件。全過程を観察できる。
2033年04月15日 未明~
明方
1.09
[51分]
皆既食 皆既中、月の直径3個分という
至近距離に一等星のスピカ。
加古川では部分食が終了する
直前に月が沈む月没帯食。
2033年10月08日 夕方~
夜半前
1.35
[80分]
皆既食 好条件。全過程を観察できる。
皆既中、月から約3度の所に天王星。
2037年01月31日 夜半 1.21
[64分]
皆既食 好条件。全過程を観察できる。
  • 「月出帯食」「月没帯食」はそれぞれ、月食の途中で月が昇る、沈むことを指します。

今回の月食が終わると、次に加古川で見ることができる月食までは少し期間が空いてしまいます。

次に加古川で見られる月食は約2年半後、2028年07月07日の部分月食です。日付からも分かるとおり、今回の桃の節句(ひなまつり)に続いて笹竹の節句(たなばた)の日に月食が起こるという珍しい機会……、かと思いきや、実はそうではありません。月食があるのは07日の未明から明け方にかけて、ということで、厳密には七夕の前の夜というのが少し惜しいところ。食分も最大0.39までなので、人によっては少し物足りなく感じられるかもしれません。

では次に今回のような皆既月食が見られるのはいつになるかというと、約3年弱先まで待つことになります。起こるのは2028年の01月01日! 何とも縁起のいい元日月食となります。夜半前から未明にかけての深夜帯ではありますが、年明けということでこの時間帯でも起きている方は多いのではないでしょうか。二年参りをされる方は、参道や境内から赤い月を眺めることになるかもしれませんね。

なお、次回以降は深夜から未明にかけての現象がしばらく続きます。自然の家で観望会を開催できるような夕方から深夜前の時間帯に月食があるのは、今回を逃すと次は2033年10月08日で、何と7年以上も先! 赤い月を大きな望遠鏡でしっかり眺めてみたい方は今回のチャンスを逃さないよう、是非とも特別観望会へ足をお運びいただきたいと思います。

この記事に関するお問い合わせ先

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住所:加古川市東神吉町天下原715-5
電話番号:079-432-5177
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