2022年11月8日:皆既月食&天王星食[写真集]
このページでは、11月8日(火曜日)夕方から夜間にかけて日本全国で観察された皆既月食および同時に起こった天王星食について、観望会中に撮影した写真を公開いたします。
今回の月食の進行や特徴などの詳細については、以下の解説ページをご覧ください。
皆既月食[写真集]
[18時15分ごろ]部分食の開始直後

部分食が始まってまだ5分程度ですが、本影の周りの半影が月の大部分を蔽(おお)っているため、写真ではそれなりに欠けているように写っています。
肉眼でも、食分の数値以上に欠けているように感じられました。
[18時45分ごろ]食分0.5前後

半分程度まで欠けた月。それでも肉眼ではまだまだ眩しく輝いて見えます。
[19時15分ごろ]皆既食開始の直前

皆既食開始の1分前。光が当たっている部分はごく一部のみとなり、本影に隠された部分も全体的に赤味がかった色合いとなってきました。
[20時00分ごろ]皆既食の最大

皆既状態が一番深くなったタイミング。今回の月食では本影の深くまで月が入り込みましたが、本影の中心からはまだそれなりに外れていたため、そこまで暗い月にはなりませんでした。
それでも新月前後と同じぐらいにまで明るさが落ちたことで、赤い満月の向こうにたくさんの星々が見える不思議な光景を眺めることができました。
ちなみに、画像の左下に見えてきた小さな星は、この後の20時30分ごろ、月食中の月に隠されることになる天王星です。
[20時15分ごろ]皆既中

食の最大から15分程度経ったころ。ひとつ前の画像と同様にまだ本影の中にあるため赤い満月として見えていますが、本影の中心に近い側とその反対側で明るさがかなり違うことがわかります。
また、月が左下の天王星へだんだんと近づいてきました。
天王星食については動画で撮影したものを公開していますので、次章のリンクよりご覧ください。
[20時45分ごろ]皆既食の終了直後

皆既状態が終わって数分後の月。
左上から月の形が戻り始めていますが、本影に隠れた部分に明るさを合わせて撮影すると、皆既状態が終わっても本影の中は仄(ほの)かに赤く照らされていることがわかります。
[21時15分ごろ]食分0.5前後

形が半分程度まで戻ってきた月。
このぐらいになると月明かりもかなり明るく感じられるようになり、夜空の星も暗いものは見えにくくなってきました。
街明かりが少ない場所だと周りの風景の見え方も大きく変わり、皆既中は辺りがほとんど見えないほど暗くなっていたのが、この頃になると足元に影ができるほど明るくなって、その明るさの変化に驚かされます。
[22時00分ごろ]部分食の終了

21時49分に部分食が終わり、それから10分程度が過ぎたころの満月。
すでに月は本影から脱出していますが、まだ半影に蔽(おお)われている右半分がやや暗くなっていることが確認できます。
皆既月食中の天王星食
天王星食の様子については、観望中に大型望遠鏡で強拡大して撮影した動画に、編集を加えてまとめたものを作成いたしました。
以下のリンクよりご覧いただけます。
2022年11月08日(火曜日)皆既月食中の天王星食@加古川市立少年自然の家
(注意)外部サイトへ移動します。
【オマケ】惑星食と恒星食(明るさの変化の違い)
今回の天王星食は皆既月食中に惑星食が同時に起こる「ダブル食」として注目されましたが、実は加古川ではさらなるミラクルが起こっていました。
天王星(6等星)が皆既中の月に隠されるまさにその瞬間、天王星と同じぐらいの明るさの恒星(おひつじ座の7等星)が同じタイミングで月の後ろから出現しており、「皆既月食」の最中に「惑星食」と「恒星食」が同時に起こる、という「トリプル食」となっていたのです!
運よくその瞬間に望遠鏡をのぞいていた観望会参加者から、まるで恒星が月の裏側から天王星に押し出されたようだった、といった声が聞かれました。潜入の瞬間を連続写真で撮影した画像をつなげ、作成したGIFアニメーションが以下の画像ですが、この画像からもその様に見えることが伺えます。

天王星の潜入と恒星の出現の様子。
再生速度を0.5倍速相当に調整。(撮影時の時間を2倍に引き延ばして表示)
天王星と恒星がそれぞれ月の裏側にある間は文字をグレーに反転して表示しています。
(天王星も恒星も小さな点で写っているため、スマホ等の画面では判別が難しいかもしれません。ぜひパソコンなどの大きな画面でご確認ください。)
(画像が縮小されて表示される場合は、以下のファイルリンクよりオリジナルサイズのGIFアニメーションを表示することができます。)
ここでぜひご注目いただきたいのが、天王星と恒星、それぞれの明るさの変化の仕方です。
それぞれの天体を注視してよくよく見てみると、月に隠されていく天王星は“じわじわと”暗くなっていくのに対し、恒星が月の裏側から出てくるときは“一瞬で”パッと明るくなっていることがわかるでしょうか。
これは地球から見たとき、惑星である天王星は面で、恒星は点で光って見えることからこういった違いが起こります。
恒星は惑星と比べて圧倒的な大きさを持ちますが、その大きさ以上に地球からとてつもなく遠い場所にあることから、その大きさを持ってしてもただの光る点にしか見えません。月に隠されるときは一瞬で見えなくなり、出てくる時も一気に元の明るさで見えるようになります。
対して、天王星などの惑星は恒星よりはるかに地球に近くにあり、望遠鏡で拡大すると面積を持った物体として見えることから、月に隠されるときは徐々に隠されていく形となり、明るさも緩やかに変化していくことになるのです。
(この恒星の大きさは不明ですが、もし太陽と同じ大きさだと仮定すると天王星の27倍もの大きさがあることになります。それに対して、この恒星は地球から約85光年離れていることがわかっており、これは地球から天王星までの距離の約28万倍に相当します!)
加えて、これら2つの天体を隠した月が、実際にはこれら2つよりも圧倒的に大きさが小さいことをあわせてイメージしながらアニメーションを見返すと、宇宙の広がりや奥行きが実感できるのではないでしょうか。
更新日:2023年04月22日