2020年12月06日:地球へカプセルを持ち帰った「はやぶさ2」

更新日:2023年04月14日

【速報写真】帰還直前の「はやぶさ2」の光跡をとらえました!

帰還直前のはやぶさ2(速報写真)

01時00分から、2秒露光+1秒インターバルを100枚繰り返して撮影したものを合成。はやぶさ2の移動方向は画面中央上部から左下へ。

はやぶさ2の光跡のアニメーション

撮影した画像を元に作成したアニメーション。非常に淡い小さな点ですが、はやぶさ2が画面中央上部から左下へと移動しています。

小惑星探査機「はやぶさ2」の観測

非常に暗いと予想されていた「はやぶさ2」を確実に捉えるため、40cm反射望遠鏡と20cm屈折望遠鏡にそれぞれカメラをセットして待ち構えました。

モードチェンジ

特に今回は万全を期すため、より明るく撮影できるように40cm反射望遠鏡をモードチェンジ!!

少年自然の家の40cm反射望遠鏡は鏡筒の横(※)から専用の鏡装置を取り付けることによって、通常よりも広い範囲をより明るく撮影することができます。
((※)左画像の黄色丸印の部分。画像は装置を取り付ける前の状態。)

12月5日(土曜日)の夕方までには準備を完了し、あとは「はやぶさ2」の光が見えるのを待つばかり。しかし、まだまだ遠くにある「はやぶさ2」はなかなか姿が見えません。

焦らされること約3時間以上!
21時をまわってようやく、「はやぶさ2」のものと思われる光を検出することができました!!

「はやぶさ2」初検出

初めて検出できた「はやぶさ2」の光。

比較的わかりやすく検出できた2枚の画像から「はやぶさ2」の周辺を切り出してアニメーションを作成しました。中央で移動する非常に淡い光の点が「はやぶさ2」です。
(マークを付けてわかりやすくしたものとマークのないものを繰り返して表示しています。)

この時点ではまだ地球から11万キロメートルの距離にいたため周囲のノイズにまぎれそうなほど弱い光ですが、この2枚の前後の画像とあわせて「はやぶさ2」の軌道と一致することが確認できました。

「はやぶさ2」の初検出以降はおおむね15~20分おきに、「はやぶさ2」が地球の影に入って見えなくなる深夜2時前まで撮影を続けました。

残念ながら少年自然の家の大型望遠鏡は人工衛星や探査機の動きにあわせて動かすことができないため、探査機の通過が予測されている場所に先回りして望遠鏡を向けて待ち構える「待ち伏せ作戦」での撮影が基本になります。
日付が変わるまでは「はやぶさ2」がまだまだ遠くにあって見かけの動きが小さいため、比較的のんびりとした時間が流れていましたが、日付が変わって「はやぶさ2」の地球までの距離が5万kmを切ったあたりから「はやぶさ2」の見かけのスピードがグングン速くなり、撮影してはすぐ望遠鏡を向ける場所を変え、また撮影しては直ちに場所を変え、と天体観測室はてんやわんやといった状態に…。f(^_^;)

「はやぶさ2」が地球へ近づくにつれて、見かけの動きが速くなり、どんどん明るくなっていく様子がわかるように、撮影した画像を使ってアニメーションを作ってみました。

以下の5つのアニメーションは、(撮影間隔は異なりますが)いずれも3分間の「はやぶさ2」の動きを6秒間にまとめたものであり、30倍速に相当するものになります。

  • 画面中央から少し右上にかけての間を、左下へ向けて少しずつ動いていく淡い点が「はやぶさ2」です。
  • こちらも画面中央から右上にかけての間をご覧ください。23時30分ごろと比べてわずかですが動きが速くなっています。
  • 画面上部やや右から「はやぶさ2」が左下へ向けて動いています。カメラ越しにも速くなってきたのが感じられたため撮影間隔を短くして撮っていますが、ここまでのアニメーションと同じく暗転から暗転までの間は3分間です。
  • 画面中央を通って右上から左下にかけて、3分の間で画面の端から端まで移動してしまうほど速くなってきました。
  • 画面中央上部から左下へ、「はやぶさ2」が猛烈な速さで駆け抜けていきます。画面の暗転から暗転までが3分間ですので、約半分の1分半程度で画面の外へ出てしまうほど速くなっています。
「はやぶさ2」6日01:30ごろの光跡

6日の01時30分ごろの「はやぶさ2」の光跡。「はやぶさ2」が画面左に寄っているのは、画面右側を通過していると思われるカプセルの光を一緒にとらえるため。残念ながらカプセルの光を検出することはできませんでしたが、画面右を偶然通過した流れ星との共演が撮影できました!

このあと、1時55分に撮影した画像に光跡が残っていたのを最後に、その後の5分の間で地球の影に入って見えなくなった模様です。

その30分後、オーストラリアの上空でサンプルの入ったカプセルが大気圏へ突入して無事に地球へと帰還を果たし、そして、カプセルを届けてくれた「はやぶさ2」は地球をかすめて再び宇宙へと旅立っていきました。

「はやぶさ2」には、これから約10年をかけて別の小惑星へと向かう延長ミッションが与えられています。その旅の途中では2度の地球スイングバイも予定されているため、再び「はやぶさ2」の光を捉えることができるかもしれません。約7年後と先は長いですが、その時を楽しみに待ちたいと思います。

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