鶴林寺の聖徳太子坐像及び二王子立像/市指定文化財

更新日:2025年04月25日

聖徳太子坐像及び二王子立像写真

名称

聖徳太子坐像及び二王子立像(しょうとくたいしざぞうおよびにおうじりゅうぞう)

数量

3軀

種類

彫刻

材質及び技法

木造、檜材、聖徳太子像は割矧造・差首、二王子像は各一木造

時代

平安時代/12世紀

所有者及び所在地

鶴林寺(加古川町北在家)所蔵

寸法

聖徳太子像 像高47.5センチ、二王子像 像高 各38.9センチ

指定年月日

平成4年10月6日市指定、平成20年3月13日追加指定及び指定名称変更

解説

 この像は、太子堂内秘仏板絵聖徳太子像の前に安置されていたものです。
 中央が、髪を角髪に結い胸前で柄香炉(後補)を捧げる聖徳太子十六歳孝養像の坐像で、両脇侍の立像は、山背大兄王(太子の子)と殖栗王(太子の弟)と考えられます。
 太子像は、体幹部を檜の一材で前後に割矧ぎ大きく内刳りし、両足部は別に一材を寄せ、両腰部に二材ずつを矧ぎつけています。彫眼で頭部は耳朶の後ろで前後に割矧ぎ、首のところで体部に柄差ししています。もとは彩色が施されていたようですが、現状ではほとんど剥落し木肌が見えていて、面部を除いて古色となっています。精気に富む表情を伝える面相をしていて、頭に比べ頬が豊かに張っており、やや吊り上がった鋭い眼や小さな唇からも、平安絵画に見える貴族の顔の表現に近いものを感じます。通常の仏像と着衣が異なり、長く伸びた上半身は、袈裟の下に布衣を着けています。膝部は低く、衣文線の彫りはやや鋭さに欠けます。
 二王子立像は、いずれも、檜材の一木造、彫眼で、彩色は残っていません。太子坐像と二王子像は別々に保存されていましたが、伝承や古写真など近年の記録調査によって、聖徳太子坐像の脇侍であることがあらためて確認されました。
 聖徳太子孝養像は立像のものが多いのですが、坐像は、法隆寺の治暦5(1069)年銘の伝七歳像と、保安2(1121)年の聖徳太子及び侍者像の太子像が知られています。鶴林寺の太子坐像は、平安時代後期のものと見られていて、法隆寺の伝七歳像に次ぐ古いものと考えられています。また、二王子を従える三尊形式の聖徳太子像では、現存最古のものと考えられます。
 鶴林寺には、太子信仰の資料が数多く伝えられていますが、制作時期を考えると本像は、その中でも最古のもにあたり、鶴林寺の太子信仰を考える上でたいへん興味深いものです。また、わが国の聖徳太子像の変遷を考える上でたいへん重要な仏像といえます。

この記事に関するお問い合わせ先

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