大野常楽寺の聖観音菩薩立像/市指定文化財

更新日:2022年02月20日

大野常楽寺の聖観音菩薩立像

名称

木造聖観音菩薩立像(もくぞうしょうかんのんぼさつりゅうぞう)

数量

1軀

種類

彫刻

材質及び技法

一木造、彫眼

法量

像高 63.5センチ

時代

年代不詳、平安時代後(末)期(12世紀)の特徴が見られる。

所有者

常楽寺 所蔵

所在地

加古川町大野1762番地

指定年月日

平成12(2010)年4月13日 市指定

解説

 常楽寺本堂の奥に安置される聖観音菩薩立像です。穏やかな相貌をもつやや大きめの頭部と、奥行のある体部の肉取り、さらに、腰をやや左に捻り、微妙に左足を踏出すなど、一見して、平安時代後期の観音菩薩立像であることがわかります。
 表面は剥落し全身古色を呈しています。 内刳りは無く、体幹を桧の一材で彫成しています。宝髻は大きく、天冠台の彫りも鋭いものです。彫眼で、鼻先がやや磨滅していますが、面部は全体に損なわれていません。左手は屈臂して腹前に握り、宝瓶を提げていたとみられる手先は後補と思われます。屈臂した右手は胸前に第一指と第二指を捻じて掌を差出しています。肘からは別材を合せ、さらに手首より先は後補のものです。条帛は両肘から外は欠損し、両足裏はそれぞれに柄の跡が見られますが、腐食のため別材を補い一材として台座に挿しています。宝冠と台座は後補ですが、本像は、衣文線も鋭く、全体に制作当時の姿を留めています。
 また、この仏像の注目すべきは、台座下部背面に「日向宮本地仏」銘が向って右から左に横書で陰刻されていることです。台座の制作は、その形式と本堂の他の仏像等の修理から17世紀後半頃と考えられますが、その頃には、この像が、日向宮(日岡神社)の本地仏とされていたことになります。室町時代後期から江戸時代初期にかけて、 常楽寺の寺勢は衰えていたため、この関係をどの程度遡って考えるかは慎重にすべきですが、加古川市内唯一の式内社である日岡神社と、中世播磨で隆盛を誇った常楽寺との、神仏習合のようすを窺わせる貴重な資料といえます。

地図

この記事に関するお問い合わせ先

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