みとろ苑庭園/国登録文化財

更新日:2021年07月10日

登録名称

みとろ園庭園

数量

1所

種類

記念物

種別

名勝地、庭園

時代

近代(大正時代)、大正7(1918)年

所有者及び所在地

財団法人農村文化協会 、上荘町見土呂375番地の1

登録年月日

各 平成19(2007)年7月26日 国登録

解説

 江戸時代後期、綿花栽培により播州地域の豪農に成長した大西氏は、加古川の右岸の「見土呂」の地に別邸を構えました。大正7年(1918)に第9代大西甚一平は別邸内に大広間及び庭園を新造し、「みとろ苑」と呼ぶようになりました。
 庭園は、先行して存在した主屋の南庭をはじめ、大広間を持つ新造の平屋建木造建築の北庭・南庭・東庭、その西妻に連接する茶室の露地庭から成っています。
 大広間の北庭は、みとろ苑の中核部を成しています。敷地の北端から緩やかに下がる傾斜地の裾部に大きな露岩を配して築山とし、上方に位置する2つの滝から地形に沿って流水を巡らせた独特の意匠・構造を持っています。景石と砂利を用いて渓流を象った枯流と実際の水流とが、分岐・合流を繰り返しつつ築山の斜面を流れ下り、平屋建木造建築の北東隅に位置する「滝の間」と名付けられた座敷の北面に達しています。さらに流れは、明治時代に明石城から移築されたと伝える「明石の間」と呼ぶ今一つの茶室と、大広間を持つ木造平屋建建築との間を流れ下り、大広間の南庭の池へと注ぎます。大広間北面の沓脱石からは飛石が打たれ、流れに沿って北庭の築山を周回できるほか、西妻に設けられた四畳半台目敷きの茶室「安閑庵」の露地庭を経て、大広間の南庭へと巡り歩くことができます。
 大広間の南庭は北庭と趣を異にし、池を中心に巨大な景石や石燈籠を配置するほか、池には巨石を用いた石橋が架けられています。また、「明石の間」の南に位置する主屋の南庭は、石燈籠や蹲踞を中心とする小規模な露地風の書院庭園です。
 以上のように、みとろ苑庭園は播州地方の近世豪農の別邸に起源し、近代に増築された木造建築を中心に、築山と流れを組み合わせた独特の作風を示す北庭、池泉を主体とする大広間の南庭、茶室に付随する露地庭など、多様な様式の庭園から成っています。その造園史上の意義は深く、同時代に属する類型の中でも、特に意匠又は構造面の特徴となる造形をよく遺していると考えられます。 

(解説は、登録時の資料及び文化庁国指定文化財等データベースの解説を基本に作文しています。)

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地図情報

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担当課:文化財調査研究センター
郵便番号:675-0101
住所:加古川市平岡町新在家1224-7(中央図書館2階)
電話番号:079-423-4088
ファックス番号:079-423-8975
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