世界における地球温暖化の影響~ツバルの視察を通して~

更新日:2020年07月30日

 

      海2

 みなさんは、「ツバル」という国を知っていますか。

 ツバルは、近年気候変動などの環境問題に直面しており、「沈みゆく国」として関心を集めています。加古川市は、東京2020オリンピックでツバルのホストタウンを務めることもあり、加古川市にとってツバルは関係の深い国です。

 2020年1月5日から12日までの8日間、公募により選ばれた市民の方と加古川市職員でツバルを訪問し、現地の環境問題について視察してきました。

ツバルへのアクセス

 直行便はないため、今回は香港とフィジーを経由し、ツバルに向かいました。着陸するなり外を見て驚きました!滑走路と民家の間にフェンスも何もなく、滑走路沿いから皆が飛行機を見つめています。滑走路は、普段は普通の道路として、横断やスポーツの練習にも使用されており、その珍しい光景に見慣れるまで少し時間がかかりました。

上空から見たツバル1   滑走路4 

上空から見たツバル            機内の窓から見たツバルの住宅

 

 さっそく視察内容について、現地の写真と共に紹介します。

ツバルの環境問題

 地球温暖化による影響が大変深刻です。気候変動により、サイクロン(南太平洋やインド洋で発生する熱帯低気圧)が増加・激化しているため、津波から逃れるための避難訓練の実施や、メディアを通してすぐ避難指示が出せるよう対応しています。

 また、子ども(小学4~6年生)の環境教育に力を入れており、毎年「環境週間」には、子どもたちを保護区域に連れていき、保護活動体験を行っています。

 他にも、海面上昇による塩害で、農地が大きなダメージを受けています。日本のNGOによるマングローブの植林や、ニュージーランドによる埋め立て、海岸保護など先進国からの支援により対策がとられています。

農業4   嵐3

海面上昇による農地への影響を示す図   波が打ち付ける様子

ツバルのごみ問題

 ごみ問題も大変注目すべき問題です。ごみ処理施設がなく、大部分のごみは、島の北端にあるスペース(300m×100m)に投棄されています。しかし、年々場所が無くなってきており、このまま砂を被せて積み上げていくと「ツバルマウンテン」ができるのではと、問題視されています。2019年には、EUの支援でリサイクル施設ができ、ビン、ペットボトル、缶、バッテリー、電子機器等を分別していますが、リサイクルはできておらず、保管のみの状態となっています。

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北端のごみ投棄場所(100m×300m)

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手作業で缶を洗浄している様子       リサイクルセンターに保管されている機器類

ツバルのエネルギー問題

 ガスではなく、電気が普及しています。停電は年に2~3回起こるうえ、家庭の電気代も高いそうです。

 ツバルでは、「2025年までに電気供給のすべてを再生可能エネルギー由来にする」目標を掲げています。首都のあるフォンガファレ島は火力発電が7割を占めていますが、他の8島では、既にすべての電気が太陽光発電で賄われています。全島で「再生可能エネルギー100%」を目指すには、資金面や技術面の他に塩害による機器の故障も大きな壁となっています。

太陽光5 発電機6

エネルギー局前の太陽光パネル         日本から寄付された発電機

ツバルの文化

 ツバル語が主に話されていますが、小さいころから英語教育が行われているため、英語を話せる方が多いです。私たちも現地では、主に英語でやりとりしていました。

 8つの島コミュニティがあり、首都のあるフォンガファレ島では、年に1度各コミュニティの集会があります。そこでは、1日中、ダンスやアノと呼ばれる伝統的なスポーツを楽しみます。実際に私たちも集会に参加することができましたが、華やかなダンスや迫力のある歌には大変感動しました。

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ナヌメア島のコミュニティによる集会

アノ5   アノ6

アノに使われるボール           アノを楽しんでいる様子

私たちが今できること

 今回の視察から、環境問題に直面するツバルの様々な取組や課題を知り、地球温暖化はとても身近で大きな問題であると感じました。

 私たちは、ツバルで起きていることを決して他人事として捉えてはなりません。ツバルだけではなく、地球温暖化は世界において深刻な問題であり、自然環境や生物にも影響を与えています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書によると、このまま地球温暖化が進むと、今世紀末には地球の平均気温が最大4.8℃上昇し、海面も最大82cm上昇すると予測されています。地球を守るためにも、私たち一人ひとりの意識と行動を変えることが必要です。

 私たちに今できることはたくさんあります。例えば、家庭での節電や省エネ家電への買い替え、公共交通機関の利用など、ツバルのためにも、私たちの地球のためにも、環境にやさしい生活を心がけてみませんか。

南極の氷  洪水     風景5

図:出展)環境省「地球温暖化パネル」

     全国地球温暖化防止活動推進センター(http://www.jccca.org/)より

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