○加古川市環境基本条例

平成12年3月30日

条例第1号

加古川市は、水辺や丘陵地など豊かな自然の恵みを受け発展してきた。

しかし、大量生産型、大量消費型、大量廃棄型の経済社会活動や都市化の進展は市民生活の利便性を向上させる一方、廃棄物の増加や自動車の排気ガスによる大気汚染などの問題を起こすとともに、身近な自然を破壊している。さらに、地球温暖化やオゾン層の破壊などにみられるように、一部の地域にとどまらない地球規模の環境問題となってきている。

われわれは、良好な環境を享受する権利を有するとともに、市、事業者、市民それぞれが環境への負荷が少ない社会を築くため、環境の保全と創造に取り組む責務を有している。そして、通常の事業活動や日常生活が環境への過大な負荷をもたらしていることを認識し、事業活動や日常生活のあり方を問い直し、良好な環境を創造していかなければならない。

このような認識のもとに、自然と共生した本市の風土にふさわしい「多様な環境が最適に調和した都市・加古川」を実現し、良好な環境を将来の世代に引き継ぐことを目指し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全と創造について、基本理念を定め、市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、環境の保全と創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、これらの施策を総合的かつ計画的に推進し、現在及び将来において、市民が健康で文化的な生活を営むことができる良好な環境を確保することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全と創造は、次に掲げる基本理念にのっとり、推進されなければならない。

(1) すべての市民が健康で文化的な生活を営むことができる良好な環境を確保し、これを将来の世代へ継承していくこと。

(2) 資源の循環的な利用及びエネルギーの有効利用を図り、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の実現を目指すこと。

(3) すべての事業活動や日常生活において、地球環境保全を自らの問題としてとらえ、積極的に推進すること。

(4) 地域における多様な生態系その他の自然環境に配慮し、人と自然との共生を図ること。

(市の責務)

第4条 市は、環境の保全と創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施しなければならない。

2 市は、環境へ影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境の保全と創造に配慮し、環境への負荷の低減に努めなければならない。

3 市は、事業者及び市民の環境の保全と創造に関する取組を支援していかなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、その事業活動において、自らの責任で公害の防止、廃棄物の適正な処理その他の事業活動に伴う環境への負荷の低減に努めるとともに、緑化、資源の循環的な利用等環境の保全と創造に自ら努めなければならない。

2 事業者は、市が行う環境の保全と創造に関する施策に積極的に参画し、及び協力しなければならない。

(市民の責務)

第6条 市民は、その日常生活において、資源及びエネルギーの有効利用、廃棄物の発生の抑制等による環境への負荷の低減に努めるとともに、環境の保全と創造について自ら努めなければならない。

2 市民は、市が行う環境の保全と創造に関する施策に積極的に参画し、及び協力しなければならない。

第2章 環境の保全と創造に関する基本施策

(基本方針)

第7条 市は、基本理念の実現を図るため、基本方針を定め、環境の保全と創造に関する施策を推進するものとする。

(環境基本計画)

第8条 市は、環境の保全と創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、加古川市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を策定するものとする。

2 環境基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 環境の保全と創造に関する目標及び施策の大綱

(2) 環境の保全と創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市は、環境基本計画を策定し、又は変更したときは、速やかにこれを公表しなければならない。

(環境影響評価の推進)

第9条 市は、事業者が法令により環境影響評価を行う際、評価の結果に基づく環境への影響に係る環境の保全について適正に配慮することを推進するため、当該事業者に情報提供を行うものとする。

(自然環境の保全)

第10条 市は、特に必要があると認める水辺、山林その他の自然環境を保全するため、必要な措置を講ずるものとする。

(環境美化の促進)

第11条 市は、環境美化を促進するため、ごみの投棄の防止その他の必要な措置を講ずるものとする。

(地球環境保全の推進)

第12条 市は、地球環境保全のための施策を積極的に推進するものとする。

(年次報告)

第13条 市は、毎年、市域における環境の状況及び環境の保全と創造に関する施策の実施状況について報告書を作成し、これを公表するものとする。

(助成)

第14条 市は、事業者又は市民の環境の保全と創造に関する活動を促進するため、特に必要があると認めるときは、当該事業者又は市民に予算の範囲内で助成することができる。

(環境教育及び環境学習の振興)

第15条 市は、環境の保全と創造に関する教育及び学習の振興により事業者又は市民が環境の保全と創造についての理解を深めるとともにこれらの者の環境の保全と創造に関する活動を行う意欲が増進されるようにするため、必要な措置を講ずるものとする。

(環境情報の提供)

第16条 市は、前条の環境の保全と創造に関する教育及び学習の振興並びに事業者及び市民が自発的に行う環境の保全と創造に関する活動の促進に資するため、環境の状況その他の環境の保全と創造に関する必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。

(国及び他の地方公共団体との協力)

第17条 市は、広域的な取組を必要とする環境の保全と創造に関する施策について、国及び他の地方公共団体と協力し、その推進に努めるものとする。

第3章 環境審議会

(環境審議会)

第18条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づく審議会その他の合議制の機関として、加古川市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。

(1) 環境基本計画に関する事項

(2) 環境の保全と創造に関する事項

3 審議会は、委員20名以内で組織する。

4 前3項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成12年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際現に策定されている加古川市環境基本計画は、この条例第8条第1項の規定により策定された加古川市環境基本計画とみなす。

(加古川市環境保全条例の廃止)

3 加古川市環境保全条例(昭和46年条例第30号)は、廃止する。

(加古川市附属機関の設置に関する条例の一部改正)

4 加古川市附属機関の設置に関する条例(昭和32年条例第1号)の一部を次のように改正する。

第1条の表市長の部加古川市公害対策審議会の項及び加古川市一般廃棄物処理事業審議会の項を削る。

加古川市環境基本条例

平成12年3月30日 条例第1号

(平成12年3月30日施行)