公共施設等総合管理計画(本編)
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20 (2)構造躯体の評価 建築物は施工時の状況やその後の使用状況、立地環境などによって構造躯体*1の状態が異なり、構造躯体の状態が良好に保たれている建築物は、今後、適切に保全を実施すれば長期間使用することができます。本市が保有する旧耐震基準の建築物のうち、重要拠点施設、避難所、不特定多数が利用する施設などに対して、過去に耐震診断*2を実施した際に作成した構造躯体のデータを活用し、建築物が長寿命化に適するかを評価しました。 なお、詳細に構造躯体の状態を評価するには、専門知識を有する技術者が現地調査や材料試験を行う必要がありますが、新たな経費が発生することから本計画においては、既存のデータを活用し、簡易な評価を実施することとします。 ① 対象施設 本市が過去に耐震診断を実施した建築物 143棟 ※耐震改修促進法の改正により、図書館や運動施設など不特定多数の人が利用する施設や、学校など避難に配慮を必要とする人が利用する建築物のうち、一定規模以上の建築物に対して耐震診断が義務付けられました。なお、本市の保有する耐震診断が義務付けられた建築物(階数2以上かつ3,000㎡以上の学校など)については、すべて耐震診断を実施済みです。 ② 評価方法 耐震診断における構造躯体のデータのうち、コンクリート圧縮強度*3とコンクリート中性化深さ*4のデータを用いて評価します。 以下の建築物については、構造躯体が長寿命化に適さないと評価しました。 圧縮強度 低強度(13.5N/mm2未満)の場合 中性化深さ 調査時点で30mmに達している場合 中性化の進行速度 調査時点で、理論値よりも進行が早い場合 ※JASS 5 鉄筋コンクリート工事標準仕様書 を参考に設定しています。 ③ 建築物の評価結果 90%以上の建築物が長寿命化に適すると評価しました。 【評価結果】 評価を実施した建築物 期待できる使用年数 60年未満 60~80年 80年以上 143棟(73施設) 4棟 2.8% 3棟 2.1% 136棟 95.1% —————————————— *1構造躯体:基礎、柱、梁、壁面、床など建築物の構造を支える骨組みのこと。躯体、構造体、スケルトンとも言う。一般的に構造躯体はその材料により、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨造(S造)、木造(W造)などに区分される。 *2耐震診断: 建築物の耐震性の有無を柱や壁の断面積や構造、コンクリートの強度試験の結果などから評価すること。 *3圧縮強度:コンクリートの品質を測る上で重要な指標であり、強度が高いほど耐久性も上がる。 *4中性化深さ:経年によりコンクリート内部のアルカリ成分が失われることを中性化といい、その領域の深さのこと。中性化の進む深さは時間の平方根に比例し、中性化が進行すると内部の鉄筋が錆びやすい状況になる。

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