広報かこがわ11月号
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地域包括支援センターかこがわによる講座「もしバナゲーム™で人生の最期を考えよう」「人生会議」普及に取り組む医師や看護師と市民を交えて、医療現場での体験や普及に向けた課題、疑問点などを話し合いました。西村(医師):ある筋ジストロフィーの方はコミュニケーションを大切にしていて、「もし話すことが難しくなってしまったら、延命治療はしないでほしい」と言います。私はその気持ちを受け止めていますが、医療現場では、延命治療を優先する傾向があります。井澤(高校生):患者が望んでいないのに医療ケアを受けさせるケースは多いのですか?西村:延命治療を望まない、最期は自宅で過ごしたいと思う人が多数いる中で、約7割の人は病院で亡くなっているのが現状です。自分の正直な気持ちを家族や医療従事者に伝えておくことはとても大切なこと。いざというときはいつ訪れるか分かりません。だからこそ年齢に関係なく元気なときから話し合っておくことが大切なのです。西村:事前に本人が希望を話していても、うまく伝わっていないことが多くみられます。自分の気持ちを代弁してくれる人にも参加してもらい、常に話し合う機会を持つこと、また定期的に気持ちの変化を見直すプロセスが大切です。佐藤(看護師):様子や状態を見ながら、価値観や思いなど、じっくりと聞くことが大切。そうすると自然と家族がまとまって、納得のいく人生につながっていくように思います。堀井(民生委員):夫をみとるときは、2人でしか話ができず心残りでしたが、私が入院したときは子どもや孫にも集まってもらい、どう生きたいかを話すことができました。私のことを分かってくれていると思うと何だか安心です。元気なときにしっかり気持ちを伝えておくことは大切ですね。井澤:「死=暗い」というイメージがあります。人生の最期のことを話し合うのはハードルが高いのかなと感じています。西村:元気なときはもしものときのことを自分のこととして考えたくない、受け入れられないと思う人が多いのが現状です。ですから、状況や状態に応じて話し合う機会を持つことが大切。気持ちに変化があれば、その都度話し合いができることが理想です。佐藤:地域の高齢者サロンでは「もしバナゲーム™」を活用しながら、みんなで明るく気持ちの整理をしています。自分の価値観を話し合うきっかけとして活用してみてはどうでしょう。西村:コロナ禍では今まで当たり前だったことや自分のやりたいことができない日々が続いています。若い世代にとっても自分の人生について考えるいい機会かもしれません。身近なこととして、家族や友人と気持ちを伝え合ってほしいです。堀井:介護認定の相談を受けることがよくあります。その際には、いい機会なので家族と話し合うことの大切さを伝えるようにしています。堀井:家族はもちろんですが、かかりつけ医とも普段からよく話をしておくことが大切ですね。佐藤:地域包括支援センターに相談に来られた方には、家族と話し合う機会をできるだけ多く持つように伝えていきます。人生会議の支援は生き抜くための支援ですね。井澤:「こうやって生きたい」と決めたとおりに生き抜くことはできるのですか?西村:できますよ。周りの人に自分の気持ちを正直に話すことです。その気持ちに応え、なんとかしようと思うのが「人生会議」ですから。人生会議を広めていくには?人生会議について感じたことは?なぜ人生会議が求められているのか?人生会議を行うに当たっての注意点は?対談人生会議に話し合おう井澤 日菜さん県立加古川南高等学校1年生。看護師を目指して日々勉強中。堀井 扶佐子さん民生委員・児童委員。夫のみとりを経験。佐藤 ひとみさん看護師として地域包括支援センターかこがわに勤務。地域の拠点施設として相談を受けている。西村 正二医師医療法人社団西村医院医師。在宅医療関係者と連携して終末期ケアを行っている。「人生会議」についての講話のあと、4~5人のグループに分かれて「もしバナゲーム™」を行いました。カードを選びながら今の自分の気持ちが整理でき、「これから先のことを明るい気持ちで考えることができた」「家に帰ったらさっそく話をしてみます」と和やかな雰囲気で講座を終えました。備後老人クラブにて9月21日実施令和3年11月号6

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