広報かこがわ7月号
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立ち直りを支える人たち犯罪や非行からの立ち直りを支えるために、地域ではさまざまな立場からの見守りや、更生を支援するボランティア活動が行われています。加古川保護区保護司会長今川 裕さん加古川観光大使(北京オリンピック陸上女子5,000m代表)小林 祐梨子さん 私たち保護司は、対象者が再犯することのないよう観察と指導を行っています。私の場合、月に2回程度、自宅に招き、しっかり目を見てコミュニケーションを取ることを心掛けています。また、仲間との成功例や悩みなどの共有も大切にしています。 再犯防止の重要な鍵は就職と生活の安定です。行政機関と連携して、仕事や住宅のあっせんを行います。また、対象者が少年の場合は家族の存在が大きいため、家庭内不和であれば間に入ることもあります。 保護司を始めたのは40代。仕事と両立しながら、対象者と近い視点で相談に乗ることができたため、若いうちから始めてよかったです。何年たっても、再度過ちを犯すことなく旅立つ姿には、立ち直りを支えることができたという達成感を抱かせます。特に印象に残っているのは、保護観察期間を終えた少年が、結婚し子どもを連れて訪ねてくれたこと。27年間続けてこられたのは、こういった感動の経験や保護司の活動に理解を示してくれた家族の協力があったからです。 現在、加古川保護区保護司会に在籍する97人の保護司の平均年齢は63歳。高齢化が進むにつれ、地域の協力は今まで以上に重要です。面談場所を提供いただいたり、若い方にも保護司になっていただいたりすることで温かく見守る目が増え、生活しやすい地域づくりにつながります。「犯罪をなくす」とは「被害者をなくす」ということ。それこそが「社会を明るくする」ことだと思い、活動を続けています。市民の皆さんの理解を得られるよう、今後も「人のつながり」をテーマに地域を支えます。問い合わせ/高齢者・地域福祉課☎427・9205再犯防止の鍵再出発の支援を続ける人とのつながりをつくる 篤志面接委員として少年院でイベントに参加したり、刑務所で講演会や一日センター長を務めたりするなど社会復帰を後押しする活動をしています。また、その経験をもとに教育現場で更生支援についての講演も。特に力を入れているのは教員免許を生かした少年院での計算指導。子どもたち一人一人の表情を見ながら数学を教える時間は、とても充実しています。 数学を教えることになったのは4年前。播磨学園で陸上教室を開いた縁で、園内での数学講師のお誘いを受けました。数学を通して育てたいのは社会復帰したときの人間力。できないことを恥ずかしいと思ったり、分かったふりをしたりせずに、素直に「分からない」と声に出すことから始め、日常生活で役立つ身近な問題や題材を取り上げています。誰でも「できた」という自信の積み重ねは、自分自身の成長へとつながります。多くのできる経験を、今後の生きる力にしてほしいです。 先日、教え子から連絡があり、近況報告に加え「4年かかったけど、元気をくれた先生にどうしてもお礼を伝えたい」という、うれしい内容でした。力になれたことを実感し、大きなやりがいを感じました。また、ある学校での講演後、一人の生徒が初対面の私に家での悩みを打ち明けてくれました。少年院での経験が、私を「頼っていい人」にしてくれたのです。 私の活動自体は一つの点ですが、たくさんの点をつなげると、強い支援を行う線になります。これからも誰かを救う線の一員になれると信じて、人に関わる活動を続けます。一人一人と向き合いながら「できる」という自信を重ねて誰かを救う線の一員に☎451・7868保護司について、活動内容などくわしくは下記までお問い合わせください。加古川更生保護サポートセンター令和2年7月号5

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