広報かこがわ12月号
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児童虐待を防ぐために私たちができること県中央こども家庭センター木下 浩昭 所長 子どもを守り育てるはずの保護者による虐待は、子どもの心身に大きな影響を与え、その後の人生を左右します。こども家庭センターは児童福祉の専門機関として、家庭で生じるさまざまな問題について幅広く相談を受け付けています。 児童虐待に関する通報は年々増加しています。平成30年度に県中央こども家庭センターに寄せられた児童虐待相談は1109件に上り、うち子どもの心を傷つける「心理的虐待」に関する相談が6割以上を占めました。児童虐待にはこのほか、体を傷つける「身体的虐待」や必要な育児を行わない「ネグレクト」などがあります。また、子どもの目の前で家族に暴力を振るう行為(面前DV)など、子どもに直接的な被害がない場合でも虐待と認められます。 虐待した保護者が「しつけのつもりで行っていた」というケースは少なくありません。子どもを激しく叱ったりたたいたりすることは、保護者自身が育った環境によっては「しつけ」と認識されるかもしれません。しかし、児童虐待とは「子どもを守るべき保護者が子どもの心や身体を傷つけ、健やかな成長や人格の形成に重大な影響を与えること」であり、子どもの成長に悪影響を及ぼす可能性があれば虐待に当たります。 児童虐待はさまざまな理由によって起こりますが、その多くは保護者が抱える子育ての悩みやさまざまな生活上のストレスがきっかけになっています。周りの人を頼ることができない環境ではこのような状態に陥りやすく、虐待の危険性が生じます。虐待を防ぐには、周りの大人が子どもや保護者のSOSサインに気付くことが大切です。もし身近に気になる子どもや家庭があれば、勇気を出して市や児童相談所に相談してください。通報は支援を開始する糸口となります。子育てをする家庭を地域の皆で見守り、寄り添うことで虐待のない社会を目指しましょう。増え続ける児童虐待しつけのつもりが虐待に地域で見守ることが重要児童虐待の種類暴言を吐く、無視や拒否的な態度をとる、著しくきょうだい差別をする、子どもの前で暴力を振るうこと。●心理的虐待殴る、蹴る、激しく揺さぶるなど体を傷つけるような行為を行うこと。●身体的虐待十分な食事を与えない、汚れた衣類を着替えさせず放置するなど適切な育児を行わないこと。●ネグレクト(育児放棄・怠慢)子どもへの性交や性的な行為の強要・教唆、ポルノの被写体にする、子どもに性器や性交を見せること。●性的虐待市内でも増え続ける児童虐待平成30年度に市に通報された児童虐待の疑いがある子どもは841人を数え、25年度と比べると約2倍に増えています。虐待の疑いで通報を受けた人数(年度)(人)242526272829301002003004005006007008009001,0004715154866881,034841430令和元年12月号3

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